この丸メガネはミュージシャンなの?

音楽ブログを早々に諦め、ゆるめのサブカルブログへ男は舵をきった

ありがとう、はてなブログ

お題「#おうち時間

家から出られないならブログでも書くか的な

はてなブログを始めて大体3ヶ月くらいだろうか。
飽きっぽいおれにしては、よく続いていると思う。

これは、新型コロナによる外出自粛の影響によるところが多い。

前にもちょろっと書いたが、"STAY HOME" な過ごし方の中で、なにかしら生産的なことをしたいという、おれのメンタルとはてなブログを始めたタイミングがばっちり重なったのだ。

ちなみに実をいうとこのブログは、はてなブログにくる前、レンタルサーバーとWordPressで、数ヶ月にわたり運用していた過去がある。

愛用の楽器好きなミュージシャン音楽制作などの話題、そしてDTM(パソコンで音楽を作ること)の知識の共有を大テーマに掲げて開始したブログであった。

だが、おれは自分の飽きっぽさを舐めていた。

1記事目を書いたところで、なんかやばいなと直感が走った。

2記事目を書いたところで「これ、飽きそうな気がするな」と飽きる自信が芽生えた。

3記事目を書いたところで「自信が確信に変わりました。てか、もう飽きました!」とはきはきとほがらかに答えられるくらい飽きていた。

おそらく10記事とかそんくらいで、おれのモチベーションは完全にゼロとなり、そのうち管理ページにログインしなくなり、そもそも自分がブログをやっていたことさえ忘れる日々が続き、気づいたらレンタルサーバーの更新が切れていてブログ消滅という、なかなか残念な結末を迎えた過去がある。

あの久々に管理ページに入ろうとして、パスワードは合ってるはずなのに、なぜかログインできなかった夜は、今でも鮮明に覚えている。

飲み会のノリで付き合ったはいいものの、あまりフィーリングが合わなくて、徐々に連絡を取り合わなくなり、疎遠になっていった彼女のアパートに、1ヶ月後にふと思い立って会いにいってみたら、合鍵がなぜか使えずピンポンしてみたらパーカー姿の彼女がでてきて、
『え、私たちもうとっくに別れていると思ってた……てかごめん、いま新しい彼氏が部屋にいるから、わるいけど帰って。あ、鍵は変えたから捨てちゃっていいよ』
と言われたような気分だった。

なんてなまなましい例えだ。
まあとにかく、そんな悲しい恋愛にも似た、悔いの残るブログの終わり方だった。

そしておれは、はてなブログへと移住した。

前述の通り、おれはレンタルサーバーを失った。
ただ記事の数が少ないとはいえ、最初は高い志をもって始めたブログだ。
せっかく書いた記事なんだし、いちおう財産として持っていよう。
そう思って、手元に残った記事を片手に、このはてなブログへと引っ越してきた。

いや、もとの家がなくなっているわけだから、引越しとは言わないか。
なんだろう、移住かな。
そう、おれははてなブログへ移住してきた。

家賃タダ(利用料無料)というのが、この先ブログを更新するかしないか決めかねているおれにはとてもありがたかった。

ブログの更新にいそしむ日々。

で、今ようやく移住から3ヶ月ほど経ち、今のおれはどうかというと、なにげに週1くらいのペースでちゃんと更新をしている。

一般ブロガーからしたら、ヘソで茶が沸くようなペースかもしれないが、おれの病的に飽きっぽい脳を持ってしまったおれからしたら、これはなかなかの健闘っぷりといっても良い気がする。

いや、ほんとね、いっかいおれの脳になって、おれの気分を味わってほしいよ。
マジでハンデ戦よ、この脳の根性のなさ

てか、実はいまも「ヘソで茶が沸く」って使っておいて、これが↑の使い方であってるのかちょっと自信ないのに、おれは全然調べようともしてないからね。
この記事を書くために、パソコンをガッツリ開いているにもかかわらずですよ。
自分のことながら、ちょっとビックリしたよ。

調べなきゃ書けない。でも調べると書かない。そんな私です。

まあ、ヘソ茶の件は置いておこう。
先へいこう。

はてなブログにきてから変わったのは、あまり音楽の話をしなくなったということだろうか。
てか、もともと音楽理論や楽器の知識が豊富なわけでもなく、DTMもまだ始めて1年ちょっとだから人に教えるほどでもなく、どちらかといえばまだ教えを乞う側の人間である。

つまるとこ、おれは事前の準備や調査なくパパッとブログに書けるような有意義な情報をほとんど持っていないのだ。

それでもブログを運営している以上、おれだってこういう想いはある。
「このページに訪れてくれた人に少しでも有意義な情報を提供したい」という殊勝な想いだ。

で、これはDTM初心者に役立つだろうという厳選したテーマで(例:コンプ の使い方とか使えるプラグイン情報とか)、ブログのために色んな情報やテクニックを調べたこともあるが、なぜか調べ終わる頃には、
「こんだけ苦労して手に入れた知識をやすやす渡してたまるかい!」
というスタート地点とは別人格の男が現れて、けっきょく執筆しない謎の展開となる。

そんな自分がわかってきたので、最近では無理して音楽について書かないようにしている。

そしてもうひとつ、おれが一時期ブログから離れた大きな理由となった事件もここで触れておこう。

最後のやる気を奪われたあの日。薄毛事変。

これまでおれが執筆してきた記事で、ダントツで流入が多かったのは、下記の「薄毛に悩むロッカーはとにかく豆乳を飲め」というものである。

dada9.hatenablog.com


これは、はてなブログにくる前に書いた記事だが、それまで静まりかえっていたこのブログが、これを境に薄毛の男たちで大にぎわいになるという、予期せぬ展開を生んだ忌まわしく印象深い記事である。

遺伝的に不利な頭髪事情を背負ったおれだもの。
気持ちはわかるし、おれの発毛メソッドが役にたつならそれに越したことはない。
でも、おれが称賛を浴びたかったのは、あくまで"音楽の記事"でだ。

筆者が音楽ビギナーだからこそビギナーの気持ちがわかり、初期にぶち当たる壁の乗り越え方や即効性のあるギタートレーニングなど、ビギナーのビギナーによるビギナーのためのブログに育ったらいいと想い描いていたハートフルな楽園。
その楽園は、自らの書いたひとつの記事が要因で、まったく音楽に興味のない人間の集まる場となってしまった。
文字通り"不毛地帯"と化したのだ。

Googleのサーチコンソール(どんなキーワードでサイトに流入したかがわかるツール)のトップに並んだ『発毛 豆乳』『育毛 豆乳』『ハゲ 豆乳』……という目まいがしそうなワードの数々が、おれの最後のやる気を根こそぎ奪っていったのは無理もない話だ。

音楽とは無縁の男たちが嵐のように現れ、そして去っていったこの期間を、おれは「薄毛事変」と呼んでいる。


で、まあそんな傷心の時期を乗り越え、
「有意義な情報はもういい」「音楽の話題にこだわらなくてもいい」「なんなら発毛ブログでもいい」
と、そんなアウトローな覚悟を胸に、はてなブログで再スタートして今にいたるというわけだ。

はてなブログさん、あんたにでかい借りができたようだ。

そして昨日、それは起きた。

さて今日はどんなムダな話を書こうかなと、光のない目で管理ページを開いたおれは驚いた。
大体デイリー平均で7人とかが迷い込んでは去っていくこのサイトに、なんと10倍近い人間が訪れていたのだ。

「また奴らが来たか!!」
おれは怒りにまかせて、猟銃を片手に立ち上がった。

が、よくよく見ると、どうやら前回と状況は違っているようだ。
さらにさらに、よくよく見ておれは気づいた。
どうやらおれの書いたブログ記事が「週間はてなブログというものに、なぜか選ばれて載っているようなのだ。

blog.hatenablog.com


理由は不明だが、どうやらおれは無意識のうちに、誰かになんらかの価値を与える有意義な記事を、はてなブログで書けたようだ。
もう今回は音楽でなきゃイヤだ、といったガンコなこだわりはない。

これを期に始めてブログへ訪れてくれた、優しげなアイコンのユーザーたち。
そして輝かしいはてなスターの数々。

はっきり言って、おれは感動した

ありがとう、読んでいただいた皆さん
ありがとう、選んでくれたはてなブログさん

無料の部屋におれを迎え入れてくれただけでなく、外出自粛の中、こんな充実感を自宅内で与えてくれるとは。
このサービス、一生使おうと思っています。

今は思っています。

お礼に教えておくと、豆乳で髪がふさふさになるのはガチです。
実体験に基づいた信憑性の高い情報として、これはガチです。

でも次こそ、音楽について語ろう。
今日は寝よう。


時短デニム!超高速でジーンズを育てるおれ流メソッド

今週のお題「自慢の一着」

色落ちしたAPCのプチスタンダード

時短メソッドで色落ちした私物デニムパンツ

ジーンズを選び育てることは結婚と同義

ジーンズが好きだ。
正確に言えば、ジーンズを穿いて育てることが好きだ。

そう、おれにとってジーンズは着飾ることより育てることが醍醐味。だから、加工ジーンズはほぼ買わない。
特に最近ではその傾向が顕著で、リジッドデニム(ノンウォッシュデニムとか生デニムともいう)の一択だ。

バリバリに糊付され鉄のように硬く、限りなくブラックに近いブルーのリジッドデニムを、幼児洗礼のごとくぬるま湯でおごそかに洗うところから、おれとジーンズの共存生活は始まる。

これから長い人生を共に歩むことに決意をにじませながら、ファーストウォッシュが乾くのを待つ時間は、洗濯というより儀式。
それも祝いの儀式、結婚式だ。

おれはこのジーンズとの結婚式を過去に20回以上は行っている。
バツ20
結婚相手が人間だったらえらいことになっている。
ただ幸いなことに、人間とした結婚式は0回だ。

「リーバイス」「Lee」「ラングラー」に始まり、「ユニクロ」「GAP」「ヒステリックグラマー」「ディーゼル」「ドゥニーム」「桃太郎ジーンズ」「KURO」……

様々なブランドの様々なシルエットのジーンズを購入してきた。
特に10代のときはとっかえひっかえだった。
デニムの良し悪しも最初の頃はよく判断がつかないし、体のサイズも変動が激しいし、何より飽きっぽい性格ゆえだ。

色落ち失敗の末にたどり着いたデニムの育て方

上記の通り数々のデニムに足を通してきたので、当然のことながら色落ち失敗は数え切れないほど経験してきた。

人生で初めてファッションに万を超える額を投資したリーバイス501が、ファーストウォッシュであんなに縮むとは思わなかった。中学生には厳しすぎる現実だ。
変わり果てた姿で洗濯から帰ってきた501は、どう頑張っても一番上のボタンが止められないほど縮み果てていた。
その失敗から始まり、今ではデニムの育成について、そこそこ語れるくらいの経験はしてきた。

今回書きたいのはジーンズをいかに失敗なくかっこよく、なおかつ「スピーディー」に育てるかというテーマだ。

ジーンズが制服みたいな大学生から社会人になり、その会社がスーツ着用だったりすると、ジーンズを穿く時間、つまりジーンズを育てる時間は極端に減る。

基本的に平日はほぼ穿きこみできない。いけても夜の1日2時間くらいだろう。
仕事から帰ってきて、ベビーベッドで寝ている我が子の頭をなでるくらいのコミュニケーションしかとれない。
そして人間の子供は勝手に育つが、デニムは穿かないと育ってくれない。

そんなデニム育成に不利な状況下で、試行錯誤の末、ようやくたどり着いた理想のデニム育成方法をここに記す。

おれ流メソッドで色落ちした私物デニムジーンズ

で、これが私の育成方法で色落ちした私物のジーンズだ。
フランスのアパレルブランド、A.P.C.のプチ・スタンダードというモデルのジーンズである。

色落ちしたAPCのプチ・スタンダード

アタリの出たA.P.C.のプチ・スタンダード

しかし我ながら惚れぼれしてしまうエイジング具合だ。ワインを片手に眺めていたい色落ち感だ。そして何より、同じ色落ちをしたジーンズは、世界にこれ以外ないというオンリーワン感。

まあ奇跡的に、おれと同じ体型で同じ歩き癖をもっている人間が同じ回数着用したら、できないわけではないが、そんなジーンズが存在するなら見てみたい。
というか、もはやジーンズはどうでもいいから、そのおれそっくりな誰かを見てみたい。

デニムに刻まれたヒゲ(ふとももあたりの色落ち)、ハチノス(ひざ裏の色落ち)、その他アタリ(色落ちした部位の総称)が、おれの動きときれいに連動して作るブルーとホワイトのシワのコントラストは、リジットから育てた者だけが見ることのできる芸術的境地である。

超高速デニム育成メソッド

で、このデニム、会社の同僚からは
「何年かけて作ったんですか?10年?」「これめっちゃ味ありますね」など、
おれの鼻の穴がプヒプヒ広がる素敵な評価なのだが、実はこれ、まだ買ってから1年弱くらいである。

そう、おれにはジーンズのエイジングを一気に早めヴィンテージ級にする特別なメソッドがある。
重要なポイントは2つしかない。それがこれだ。

APCジーンズのハチノス

ひざ裏のハチノス

1:ジーンズは正しく洗濯する

まずはジーンズの正しい洗濯法からだ。
特にファーストウォッシュ。ここでしくじると全てが台無しになる。

まず声を大にしてNGにしたいのは、ジーンズを購入したら糊のついた状態で数ヶ月は洗わずに履け」という育成方だ。
誰それのデニム育成ブログとか、ヌーディージーンズの公式とか、APCの公式などでも推奨されているが、これはしないほうがいい。

この着用方法には致命的なデメリットがいくつかあって、まずすごく生地が痛む
糊でガッチガチに固まったデニムは、プラスチックみたいな硬さだ。
ブランドによっては、ほんとにパキパキ折れるくらい固まっている。

糊付きデニムをそのまま穿いていると、自然できれいな穿きジワとは到底言えない、刀キズみたいな直線のヒゲやらアタリが入ってしまう可能性が結構あるってことだ。
もちろん過去に実証済みだ。
どこをどうしたのか、るろうに剣心みたいな十字傷がついたことさえある。

で、ノンウォッシュで履き込むことの第二のデメリットは裾上げの問題だ

おれを含め、ほとんどの日本人がジーンズの裾上げは必須だと思う。
この裾上げをファーストウォッシュで縮む前のデニムで行うにはリスクが高すぎる。
ジーンズのシルエットは5mm長いかどうかで、だいぶ雰囲気が変わる。
先に裾上げをしてしまい、洗濯した後に7分丈になってしまってからでは遅いのだ。
もちろん、過去に実証済みだ。

最後のデメリットは、シンプルにデニムが汚くなる。
人の体は夏以外も意外と汗をかく。まして熱帯化の著しい日本だ。
ヌーディージーンズやAPCの中の人も、この高温多湿の島国で毎日穿かれることは想定していないだろう。
糊で固着された通気性の悪い状態で穿き続けると、あれよあれよとデニムに汚れがたまり、結果的に生地はボロボロになり、最悪の場合「なんか雑巾の臭いしない?」とか女子から疑惑の視線を向けられることさえある。
そして、その推理はおおむね正しい。そうです私が雑巾です。
もちろん、過去に実証済みだ。

なので、ファーストウォッシュはジーンズを買った直後にしてしまおう。
で、この時大事なのは、洗剤は使わずにぬるま湯でのつけ置きを複数回繰り返し、気長に糊を落としていくというとこだ。
このぬるま湯という名の産湯をジーンズにかける儀式を、おれは洗礼と呼んでいる。

で、いよいよ穿きこみをスタートするのだが、ここから洗濯回数は少ないほうがいいのは間違いない。

闇があるから光があるように、濃紺が残っているから白いアタリが映える。
そしてまるで青春のように、一度過ぎ去ったブルーが戻ってくることは二度とない。

とはいえ洗濯をまったくしないのも考えものだ。
強者になると数年ものあいだ洗わずに穿き続ける奴もいる。これは通称・根性穿きとも呼ばれる。
おれも過去に挑戦したことはあるのだが、1年経つ前に間違いなく雑巾野郎になる。
根性があろうが、でっかい夢や愛があろうが、雑巾になったら即アウトだ。
恐ろしいのは途中で嗅覚がいかれだして、自分が雑巾であることに気づけなくなることだ。
また汗やら皮脂やら吸い込んだデニム生地は、マジでボロボロになる。
もうね、デニムが末期になると、これどんな化学変化が起きてんだというくらい、触れたところがモソモソボロボロとほつれ落ち、糸というより土くれみたいな状態になる。

で、その状態になったデニムは、二度ともとの元気なデニムに戻らない。
「……過ぎたるはなお及ばざるがごとしなり」
そんな辞世の句と共にデニムの亡骸を抱えるのは、生涯でないに越したことはない。

なので、穿きこみだしたら、ギリギリまでファブリーズでケアをしつつも、定期的にしっかり洗おう。
ジーンズの洗濯で大事なポイントは、
「必ず中性洗剤(エマールなど)を使う」
「必ず裏返す」
「ソフトモードで洗う」
の3点だ。

乾かすときは、日陰で生地を裏っ返したまんま干すのがマストだ。

2:超高速デニム育成メソッド最大のポイント・霧を吹け

いよいよ、2つめにして最大の、そして早くも最後のポイントだ。

そのポイントとは霧吹きである。
ジーンズを穿いて部屋で過ごす際、穿く前にかるーく霧吹きで水を吹きかける。
以上だ。

これだけで、デニムにアタリのつく早さが、俗にエイジングと呼ばれている現象が、劇的にスピードアップする。

色落ちさせたいところを中心に、ひざ裏まで霧吹きでシュッシュしておく。
これだけだ。
あとはいつも通りの生活を、平常心で送ればいい。
湿らすとニオイにつながりそうで不安という人は、ファブリーズで代用してもいい。

これだけだから他に言うことが本当にないんだけど、効果は驚異的だ。
この方法を繰り返して次に洗濯した時に、その驚異のアタリのつき方に間違いなく驚くはずだ。

以上が素早くデニムを育てるおれ流メソッドだ。

自分仕様に色落ちしていくデニムの育成は、なんでもない日常にちょっとだけ楽しい色をつけてくれる。ただの体を動かす動作に意味をつけてくれる。

ぜひ秘かなる大人のデニムライフを楽しんでくださいませ。

ちなみに↓はおれ流メソッドで色落ちしたユニクロジーンズです。

dada9.hatenablog.com

 

それでは今日はおやすみなさい。

私がiPadを欲しい理由はKORGガジェットをしたいから

カラー多数のiPad

iPad

iPadが必要なのか不必要なのか。それが問題だ。

iPadが欲しい!
と定期的に思う。

大体、月に1回のペースで発作が起きる。

ただ欲しくなる度に、おれは毎回おなじような自問自答を繰り返している。
「おい本当に必要か?」と。

そして毎回「いやマジで必要ない」という結論に天秤はかたむき、おれはiPadの背中を悲しい目で見送ることになる。

iPadに対する自問自答で、年間何時間を浪費しているのだろうと思うと、怖くて数えられない。
『生産性が低すぎます』
うちの会社だったら、即そんな一言がチャットツールで飛んでくる、とてもムダな時間の使い方だ。
まあプライベートに生産性なんていらない。無視無視。

かくして、おれのAmazon欲しいものリスト内に、iPadは1年近く入っている。
他の連中が次々とカートに入り、旅立ちを迎えていく中、不動の「欲しいもの」として番長の座を守り続けている。

というより、なんだかダブって高校を卒業できないヤンキーのような状態になっている。留年番長だ。

おれがApple製品フリークであれば、もちろん買うだろう。
だが、おれが持っているApple製品は、現在MacBook Airの一点のみだ。
Appleウォッチはおろか、iPhoneさえも持っていない。
おれのスマホMotorolaモトローラ)、もちろんOSはAndroidだ。
到底、Apple好きとはいえないこだわりのなさだ。

趣味であるDTM(デスクトップミュージック※パソコンで音楽を作ること)で、Logic pro(Apple開発の音楽編集ソフト)から離れられない体になってしまったので、この先もMacBookにはお世話になる予定ではある。

それでもあくまでMacとは仕事上のパートナーでそれ以上の感情はない。ドライな大人の関係なのよという感じだ。


おれの周りにはAppleフリークが多い。
ただ周囲を見ていて思うのは、Apple製品を集めている人間に、Appleでなきゃいけない理由をもっている人間は意外と少ないということだ。

もちろん、彼らの所有欲を満たせるマークがあのリンゴの描かれた製品だけというのもわかる。
持ってるだけで格好いい、ある種のステータスシンボルとなっているのもすごく良くわかる。

ただおれという男は、実用的な部分でメリットを見出せないまま、自分にとって確固たる購入の理由がないまま、盲目的におとなしくリンゴ野郎になれない人間なのだ。
PCやタブレットは家電であり、つまりは実用品であって、アクセサリーではないのだ。

冷やすものがないのに冷蔵庫を買わないでしょ?
洗濯するものがないのに洗濯機を買わないでしょ?
つまりはそういうことだぜ。

ロックだパンクだ言うわりに、面倒くせえ男だぜ。

そもそも、おれはiPadを何に使うのか?

で、おれはiPadを買って何をしたいのか? 何に使うのか?
いつにも増してヒマな夜なので、考えてみた。

iPadでしたいこと1『KORG Gadget2』

まず第一にやりたいこと。
それはiPadを使ってのDTM(パソコンで音楽をつくる)だ。

まったく口を開けばDTMDTMだと、サラリーマンのくせにミュージシャン気取りで恥ずかしい限りだ。
だが好きなんだから仕方がない。
ただ、単にDTMをしたいだけなら、Logic proやGarageBandなど、手持ちのMacで事足りている。
おれがiPadを買ったあかつきに使いたいソフトは、KORGの『Gadget 2』である。

このソフトについては、いずれ別のところで語るつもりではあるが、とにかくよくできたDTMソフトである。

iOSだけかと思いきや、MacWindowsバージョンもあり、Gadget Leという名の体験版が無料だったので、この前ダウンロードしていじってみた。
これがめっちゃおもしろい。

KORG『Gadget 2』の画面

KORG『Gadget 2』

ざっくり言うと、KORGソフトシンセサイザー(実物はないくせにデザインも凝りまくり)、通称・ガジェットを使い放題で、そいつらを組み合わせて、簡単にかっこいいオリジナル曲を作れるDAWソフトである。

まずループミュージックに特化したような超絶シンプルな操作性が、ものすごく親切でいい。
DAWソフトのとっつきにくさを極限までなくし、イージーで直感的な操作を非常に高いレベルで実現している。

初心者向きといわれるGarageBandでさえ、おれの知人たちはほぼ全滅といっていいくらい挫折している。
すごくわかる。

「音楽好きだし、最初っからiPhoneに入ってたし、なんか簡単そうだし、ちょっと触れてみようかな」程度の気合だと、まちがいなく「思ってたんと違う」ってなる難しさだ。
それに比べて、Gadgetの易しさよ。

「一曲を鼻血が出るほど作り込みたい」そんな熱い志をもった方々のほうは、全然向いていない
「そういうのできるのは他にいっぱいあるんで」という切り捨て方。
そして「カモン初心者ども!」という素敵な振り切り方だ。

例えるなら、子供の頃に通ったスイミングスクールの、ひよこちゃんコースみたいなもんだ。
ひよこちゃんコースが全国共通なのかわからないが、例えがこれしか浮かばなかった。
とにかく最初、ドラムマシンのシンセ立ち上げた時、感動したもの。
「こんなん小学生でもわかるわ」って。

で、マスをぽんぽんぽんと適当にクリックしていったら、あっという間にかっこいいビートの完成よ。

で、今度はピアノとかが入ったウワモノ用のシンセを立ち上げて、白く光ってるマス(この機能がまたステキ。白いやつのどれかを選んでおけばとりあえず不協和音にはならないよ、とりあえずそれっぽくなるよとナビしてくれる機能)を適当にクリックしていってとりあえず一小節分の短いパーツを作る。

で、それをポチッとループさせる。
HipHopとか聴いている方はわかると思うのだが、あれ歌い方や音は次々と変われど、基本的なメロディーは、シンプルな短いフレーズが何度も繰り返されて曲を構成している。
つまり最低一小節をなんとか形にしてしまえば、あとはループさせるだけで、HipHop的なループ主体のトラックはなにげに成り立つ。

乱暴に言えば「リフ→Aメロ→Bメロ→サビ」の構成のポップスを作る4分の1以下の労力で、ループ系のトラックは作れるのだ。

で、Gadgetでループさせてみておれは驚いた。
まさに本当にそれっぽい曲があっという間にできてしまったのだ。

ちなみにUIは初心者のひよこちゃん用とはいえ、シンセのレベルはさすがKORGとあって、凄まじく高い。
そして、めちゃくちゃ個性的で面白い。
一点特化型の飛び道具的なシンセがこれでもかと並んでいて、DTMer(パソコンで音楽作る人をこう呼ぶらしい)でなくても、大興奮すること間違いなしだ。
ちなみにガジェットだけを、自分のDAWプラグインとして使うことも可能なので、ベテランDTMerにもおすすめだ。

で、話は戻ると、MacでGadgetが使えるんなら、わざわざiPadを買って使う必要ないじゃない。ってなるじゃないですか。
もう本当にその通りで、だからこそおれがiPadの購入をためらってしまう理由のひとつでもあるのだ。

ただこいつね、UIがタッチパネル様にできているとしか思えないんだ。
そして何ていうか、こうフィジカルにシンセを操ってる感も、iPadの方が断然高いような気がしてならない。

そして先ほど書いたようにめちゃくちゃお手軽でフィーリング重視のソフトだから、なんかこう "天気の良い休日にiPadをバッグに詰めて外へ持っていって…"
とか、
はたまた "仕事帰りの夜のカフェでメロウな気分に浸りながらまったりと…"
みたいに、
その日の外で感じたフィーリングに合わせてビートメイクするような、ミーハーなクリエイターもどき的な使い方を楽しむようにできているとしか思えないのだ。

で、このちょっとイラッとくるミーハーなクリエイターもどきになりたいがために、おれはiPadでGadgetを外に持ち出して楽しみたいのだ。

MacBookも外に持ち出せないことないけど、見かけより重いし、なんか外で広げるのも恥ずかしいしでちょっと萎えるんですよね。

iPadでしたいこと2 『イラスト作成』

おれ自身、完全に忘れていたが、おれが語りたかったのはiPadを買ったら何に使うか」であって、「Gadget2ってすげえよ!」ではなかったのだ。

『テーマが分散しています。なにを言いたいかわからない』
仕事のパワポ資料だったら、即そんなダメ出しがくる内容だ。
まあブログにテーマなんていらない。無視無視。いや、いるか。

ここ最近のAppleのプロモーションを見るに、Appleは明らかにApple Pencilを使った手描き要素に、iPadの優位性・魅力を確立させようとしている。
で、最近のおれは絵画というかグラフィカルな表現に興味が津々丸である。

しかし、それについて語り出すと、マジでテーマがブレブレになるのと、今日は眠くなってきたので次回のテーマにしよう。


まあ最後に一言そえると、
欲しいものを、買うかどうか迷っている時間て、買った後より楽しいよね。
ではおやすみなさい。

ある男の人生が始まった部屋

今週のお題「カメラロールから1枚」

f:id:dada9:20220212013705j:plain


壁に貼られたミュージシャンのポスター。300冊もの文庫本。ThinkPadユニクロのネルシャツ。バーバリーのマフラー。ポーターのトートバッグ。赤いストラトキャスターお〜いお茶。マーシャルのヘッドフォン。

これは以前におれが住んでいた部屋の写真だ。


東京都豊島区、池袋からほど近いアパートの一室。
家賃・4,5000円。
2000年代とは思えないこの六畳のタタミ部屋で、おれは一社会人として初めて自立した人生をスタートさせた。

人生のわりと早い段階で将来を捨ててかかったおれは、その前は実家に住みながらニートとフリーターをいったりきたりしていた。
恥もなにもなかった。
外では同じように自堕落な仲間たちと遊び、家の中ではパソコンに向き合い刹那的な快楽ばかり追いかけて、1年先のことさえ見ないようにして過ごしていた。

しばらくして実家から追い出されたおれは、今度はつき合っていた女の子のマンションに転がり込んだ。

ニート、フリーターを経て、おれが進んだ次の階段はヒモだった。
恥もなにもなかった。

「おれは労働に向いてないんだよ」
たまに息抜きがてらマンションを出て、友達にマックでハンバーガーをおごってもらいながら、そうおれはこぼした。

それにDV癖とかある男と比べたら、平和的に家にいて癒しも与えているおれは相当マシな人間だ。
当時、おれは本気でそう思っていた。

カスだ。

彼女の中でも、おれへの不信感、おれという男がカスだという確信性が徐々に強まっていったのだろう。

同棲という名のヒモ生活がはじまって一年経った頃、5月の強い春風の中、おれは彼女に別れ話を切り出された。
すでに答えを決めてある女の冷めた目。
ダメなおれと一緒にいたら自分がダメになると思う的なことをばっさり告げられた。
そして、好きになってきている人が他にいるとも。

そしておれは、冒頭の池袋のアパートへ流れ着いた。
家賃は激安だったが、当時のおれの収入ではそれでもカツカツだった。

たまに会う住人たちは、皆なにかを諦めたような正気のない目をした男たちだった。
なぜか揃って、シワのついたチェックのシャツを着ていた。
入り口のゴミ捨て場は曜日に関係なく散乱していた。
隣室のおっさんは毎週金曜になるとデリヘル嬢を呼んで、その嬢の甲高い声がアパートの薄い壁から響いた。

おれはかすかに聞こえてくるおっさんと嬢の敬語の会話を聞きながら、絶対にここから出なきゃなんねえと思って、勉強をはじめた。