この丸メガネはミュージシャンなの?

音楽ブログを早々に諦め、ゆるめのサブカルブログへ男は舵をきった

VOXamPlugで住宅街でもハードロック

ギターを買って1週間。
毎日のようにNIRVANAのリフをチャカチャカ弾いていた。

最初の頃は、
「えーと人差ゆびが6弦のここでー、、、で、薬ゆびが5弦のこ、、こ、ではなく、、こ、こ、、、キェー!!!
みたいなヒステリックな危うさだったが、最近では無意識にパワーコードの指になり、無意識にコードチェンジ(ずらすだけだが)ができるようになってきた。

こうなってくると楽しい。
Smells like teen spiritは、コードの展開的に延々とループができるし、ピッキングも適度にリズミカルなので、練習には持ってこいの曲だった。

しかし、しかしなにか物足りない。

これは幸せに麻痺してるからなのだろうか。
憧れにも似た恋をして、決死の覚悟の告白の結果うまく付き合えて、毎日隣にいることが当たり前になった頃に感じる物足りなさなのだろうか。
倦怠期ってやつか。

練習を終え、ベッドに腰掛け、アンニュイな遠い目をしてそんなことを考えてたおれは、今更重大なことに気づいた。

音だ。
音が小さいんだ。
てか、アンプもってねえや、おれ。


物足りないわけだ。
そう、おれはエレキギターであるにも関わらず、電気が通っていないアンプラグド状態でずっとプレイしていたのだ。
どうりで迫力がでないわけだ。

気づいてしまうと気になって仕方がない。
小さくてもいい。アンプが欲しい。


さすがにおれもギリギリの客観性は持っているので、1週間前の腕前ではアンプが目の前にあろうと使わなかっただろう。
わざわざ下手なギター音をアンプで増幅させて何になるというのか。
を大音量の拡声器にのせるようなものだ。

しかし、今のおれはカート・コバーンが生き返ったのかと錯覚するくらいのSmellsマスターになりつつある。
そろそろアンプを使ってもよい頃合いなのではないだろうか。
しかし欲望はあれど、金はない。

持つべきものは金持ちの親を持つ友達

おれは友人のシド・ビシャス(埼玉生まれのギタリスト、正式名称・死怒靡瀉酢)にさっそく電話をかけた。

アンプ余ってない??
「あるけど、どうせなら自分の買ったほうがいいぞ。練習用のアンプなんてほとんど1万円台だし」
「そんな金あったら電話してないよ」
「あと、アンプだけだとカートのサウンドには到底ならないしな」
「なんで?」
エフェクターが必要なんだよ。カートのサウンドっぽくするには、少なくともディストーションとコーラスのエフェクターが必要だ」
エフェクター余ってない??
「あるけど、どうせなら自分の買ったほうがいいぞ。エフェクターなんてほとんど1万円台だし」
デジャビュだ」
「俺もだ」


シドの「そもそもアンプなんてどうやって運ぶんだよ。うちにあるの結構でかいぞ」という言葉で、さすがに宅配便の手配まではしてくれないなと悟ったおれは、なにか手はないかと相談した。

するとシドは「あるよ」とあっさり言った。「友達のギタリストが面白いもんを持ってた。まさにビギナーの練習用に開発されたような素晴らしいマシンだ」
「なにそれ」
ブラックサンダー(※夜中に食べたくなるチョコレート)みたいなサイズ感とルックスの四角い箱で、それをギタージャックにぶっ刺すんだ。あ、色合いはどちらかというと明治チョコレートだな。そのブラックサンダーにはヘッドフォンを繋げられて、アンプとエフェクターを通した時の効果をヘッドフォンで聴くことができる」
「わかりやすくするためのチョコのせいでややこしい」
「名前なんだっけな、ギター 練習 VOX でググってみろ。たぶんすぐ出てくる」
「りょうかい」

これは傑作、VOX amPlug2

そしておれはググった。
で、すぐでてきた。
たぶんこれだ。

VOX amPlug2

たしかにどこか明治チョコレートのパッケージを彷彿とさせるクラシカルでおしゃれでおいそうな小箱だ。

説明を読んだ。
シドの100倍わかりやすかった。

なるほど。たしかにこれはいい。
VOXアンプ伝統の音を手軽に楽しめる上に、なんか部屋に転がっていたらかっこいい。
一見何に使うかよくわからない音楽機材は、ビギナーにとっていつだって永遠の憧れだ。
そしてその額。
amazonで3,700円!
買おうと思うより早く、おれはポチった。


そしてamazonの誇る優秀な物流ルートは、次の日の夕方にはおれの手のひらの上にVOX amPlug2を置いていた。

説明書なんていらないレベルだ。
スイッチ、ダイヤルの数、足しても五本の指で数えられる。
押せば「あーこれね」回せば「ほーこれね」と猿でも効果を覚えられる。

後にアナログシンセサイザーサンプラーMTR、そしてDAWを触りだして、おれがめちゃくちゃストレスを感じるのがこの部分だ。

なんていうか直感的な操作を完全に拒否ってくる非人情的なところが、いかにも理系です機械ですからって感じで、スタート地点での文系人間のかったるさを半端ないことにしてくるんだ。
機能が多すぎて覚えることが多すぎて、大体が英語で、そして大体が覚えても使用することのない機能なのだ。

シンセやサンプラーはまだいい。音とかエフェクトとか偶発的に予期せぬ効果が生まれたりするのをまだ楽しめる。
でもレコーディングとか、編集とかミックスダウンとかのとこは、こうしたいっていうのがあらかじめ頭の中にあるから厄介だ。

おれの隣にレペゼンcubaser・中田ヤスタカがいてくれれば。
なんでおれの周りは死怒靡瀉酢みたいなパンクスばかりなんだ。
何度そう嘆いただろう。

このストレスついては、このブログが続いたら、いずれ1万字くらい使って語りたいと思う。
その頃にはAIが発達して、全部声だけで解決する世界になってるといいな。


まあとにかく結論から言えば、VOX amPlug2はとても良い買い物だった。

ギタージャックに差し込んで、ヘッドフォンをつけて目を閉じたら、そこはでっかいVOXのアンプがあるスタジオに早変わりだ。
オーバードライブ機能もついてて、ハードにブイブイ言わせることもできるし、ウイスキー飲んでるブルースマンみたいな音で渋く響かせることもできる。

オーソドックスなAC30から、ちょっと歪んだClassic Rock、そしてハードなMetalとスタイルに合わせて選べばいい。
てか全部買えばいい。
なんとbass用だってある。

そして好きなままに弾き散らせばいい。
素晴らしいことにどんだけノイジーに下手くそに弾いても、その雑音は自分の耳にしか届いてないってことだ。

これはまさにビギナーのための画期的なガジェットだ。