この丸メガネはミュージシャンなの?

音楽ブログを早々に諦め、ゆるめのサブカルブログへ男は舵をきった

今年も行かないFUJI ROCK

フジロックの地図

フジロック 行こうとしたら 終わってた 
−詠み人知らず−

今年もこの時期がやってきた。
夏フェスだ。
フジロックの季節だ。

そして、やってきたと思った頃には終わっていた。
この流れも毎年のことだ。
毎年フジロック行けば良かったと悔やみながら8月を迎える。

ていうかなんだろう、毎度思うけど、フジロックは日程が悪いと思う。
なんか7月末ってこう、まだ夏にノリきれていないというか、フジロックに向かうテンションにならないのだ。

野球に例えると、気分的にはネクストバッターズサークルの中で、屈伸とかアキレス腱伸ばしをやっている状態だ。
例える必要なかったことに気づいたが続けるぞ。
で、そんな時にピッチャーが投球モーションに入っても、おいおいちょっと待てよって話じゃないっすか。あのピッチャーやべえぞ周り見えてないにもほどがあるぞってなるじゃないっすか。
てか、そんなピッチャーいたら張本勲が黙ってないっすよ。
ここ数行、おれはなにを言いたいんだ。

毎年、フジロックが終わった頃に「来年こそ行こう」と決意を固めて、夏が過ぎ風あざみで秋がきてって思ってるうちにクリスマスがやってきて正月がやってきて寒すぎでしょとか言ってるうちに春がきて、ゴールデンウィークがあって、気づけばフジロックが終わっている。

いま考えてみて改めて確信したけど、7月開催はやっぱ早すぎるな、うん。
喝だ。

日本が世界に誇る野外フェス・FUJI ROCKの基本知識

フジロックって聞いたことはあるけど結局なに??
なにを意味する名詞なの?
え、うまいの??
という方のためにフジロックについて簡単に説明しよう。

そんな人がどうしてこのページに辿りついたのか不思議でしょうがないが、とりあえず説明しよう。

フジロックとは簡単に言うと、日本最大の大型野外ロックフェスティバルだ。
今や年間100以上開催されているという夏フェスだなんだの文化は、このフジロックが作り上げたといっても過言ではない。

1997年、山梨県富士山のふもと、富士天神山スキー場で初開催。
1999年より、毎年7月下旬または8月上旬、新潟県湯沢町の苗場スキー場で三日間の開催。10前後ほどのステージが設けられ、200組以上のアーティストが集う。
会場は周囲を山林に囲まれた大自然の中。会場を一周すると一時間半くらいかかり、ロックどころじゃない疲労感に襲われる。

チケット代は三日間だと42,000円、一日でも19,000円。
これに移動費や宿泊費を考えた場合、かなりの高額になってしまうため、他のフェスと比べて10代から20代が少ない傾向にある。

毎年、海外の超大物クラスをヘッドライナーに並べる。出演者のジャンルはごった煮状態だが、特に日本人はセールス面や知名度より音楽性の高さを基準に選ばれる傾向がある。

飲食、飲酒、喫煙、寝転び、叫ぼうが、全裸になりかけようが、基本的には大体の場所で大体のことをしてもいい人工楽園。

ただし、ゴミの処理法については非常に厳しいルールが定められている。
これはフジロックの掲げる大きなテーマのひとつに「世界一クリーンなフェス」というものがあるからである。

東京では平気で不法投棄してそうな刺青&タンクトップの兄貴たちが、ゴミを集める貴重なシーンを目撃できる。

単にライブを観賞するだけではなく、森林浴やキャンプといったアウトドアを満喫するイベントととして来場する客も多い。
それが会場の和やかで落ち着いた雰囲気を形作り、その居心地の良さに惹かれた多くのリピーター(通称フジロッカー)を獲得しているといわれる。

東京では平気で人を刺しそうなグラサン&タンクトップの兄貴たちが、自然とたわむれる貴重なシーンを目撃できる。


とまあ、勢いでフジロックについて書き始めてみたものの、前述の通り基本的におれはフジロックに不参加だから、書くべき思い出がない。

とはいえ、2回だけ今まで行ったことあるし、毎年のように行けば良かったなあと考えているように、おれはフジロックをそこそこ愛してはいる。

そう、思い出はないけど、愛はある。

今のはただ名言っぽいことを言ってみたかっただけで、それ以上の意味は特にない。

まあ少なくとも大学のサークルで女子どもとチャラチャラしながら参戦するリア充や、己のアウトドアスキルを同僚の女子どもに見せたいだけのエロキャンパーよりは、確実におれのほうがフジを愛している。

そして、フジロックに行けば良かったなあと思いながら、毎年のようにフジロックについて調べていたおかげで、そこらのフジロッカー以上の知識をおれは持っている。

そんなおれの記憶に焼き付いているフジロックの史上ビッグニュースをいくつか挙げよう。

体で感じろっ!仲間を信じろっ!進研ゼミはしまじろうっ空気砲はでんじろうっ!そしてこれがフジロゥッッック! あーい

OASISEMINEMのブッキング成功!世界のFUJI ROCK

2001年、FUJI ROCKは名実ともに世界クラスのフェスの仲間入りを果たす。

なにがすごかったかって??
ブッキングのレベルが異常に跳ね上がったのだ。

いやーこの年のメンツは長い歴史を持つフジロックの歴代でもトップでないだろうか。
なんつっても、UK王者・オアシスとUS王者・エミネムとを同時に呼ぶという神ブッキングに成功したのだ。
いやー、この名前書くだけでテンション上がるわ。
こんなんリアルタイムで発表みたら、瞳孔ぶわーって開くわ。

海外メディアからも「最強のラインナップ」と称され、名実ともに日本を代表するフェスとなる。
対抗するかのように翌年からサマソニもビッグネーム度が上がり、90年代では夢のようだったロックスターたちの共演が日本で行われるようになった。

いやーオアシス観たいぜ、こんちくしょう。
兄弟で解散ってどういうことだ、こんちくしょう。
そういや、フジロックの歴史をまとめたDVDが発売されていて、この年のアクトが観たくて買ったんだけど、なぜかこの年のライブ映像だけスッポリと抜けているのだ。
なんだこれ、大人の事情?
喝だ。

そういえば、この年のオアシスのコーデがたまらない。
特にリアム。
高温多湿の日本の真夏に、ジージャンとジーパンなんだから。
かっこよすぎんだろ。
一時期、UKロックにはまりまくっていた頃、おれはこのコーデをめっちゃ参考に、参考にというか猿真似していた。

高温多湿の日本の真夏にジージャン&ジーパン。
時にはモッズコートを着ることさえあった。
そして案の定、大量の汗をかいて苦悶した。

本当のファッションは、周囲の痛い視線に麻痺してから始まるんだ。

奇跡の死者ゼロ!記念すべき第1回目FUJI ROCKの悪夢。

記念すべき第1回目のフジロックは行った人間に言わせると「地獄」だったらしい。

主催者サイド、観客サイド共に、当然どちらもフェスなんて初体験。
なのに会場はなんと富士山。さらに嵐が到来でパニックの末、中断という最悪の事態に。

「トイレもねえ」「屋根もねえ」「木しかねえ」「食う物ねえ」「下山できねえ」「おまけに雨具も持ってねえ」の悪夢の吉幾三だ。アンラッキーセブンだ。

みんなスギちゃんみたいな格好でゴミの山の中、寒さに震えていたらしい。
ちなみに今数えてみたらシックスだった。

でも書きたさないぜぇ~。ロックだろぉ~。

妖精Bjork対パンク翁Iggy Pop

知らない方のために説明すると、
ビョークは映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」の主演でも知られる女性歌手であり、その歌声、存在感は人間というより妖精。
だが感性が高すぎるゆえに完璧主義で情緒不安定で気性も荒いという、かなりやっかいな妖精である。

対するイギー・ポップはおじいちゃんである。
実年齢以上にみんなの抱くイメージはおじいちゃんである。パンクロックのゴッドファーザーとも呼ばれる。

しかし、このじいちゃんはただ者じゃない。
なにしろステージの上で自分の体をナイフで刻んだり、おもらししたり、ガラスの破片の上を転げ回って救急車で運ばれたりの要介護なパンクさだ。 なんかわからないが、自分を見失っているにもほどがある。

で、その日のフジロック
メインステージのトリはもちろんビョーク
この日のビョークは苗場の広大な自然と幻想的な闇を利用した、荘厳で静けさのあるライブを計画していた。

だが時を同じくして、メインステージから徒歩15分のセカンドステージでも、1人の男が着々とライブの準備を進めていた。
そう、セカンドステージのトリを飾るイギー・ポップだ。おじいちゃんのマイクのボリューム設定はもちろんMAXだ。
そしてライブが幕を開けた。

ビョークの用意した贅沢な静寂感に観客は酔いしれた。――はずだったが、突如向こうのほうからダダ漏れしてくる叫び声。
そう、おじいちゃんのシャウトだ。
おじいちゃんはエキサイティングすると歌詞なんてお構いなしに意味不明な鳴き声を発しだす癖がある。

「WOOOO-HOOOOO! (訳)うーーーー! ふーーーーっ!!」
鳴りやむことのないシャウト。おじいちゃんの悲鳴。おじいちゃんのエクスタシー。
妖精とじいちゃんの謎のコラボが実現してしまった瞬間だ。望まざるサプライズだ。

最後はテンションの上がりすぎたおじいちゃんが観客を100人以上ステージに上げてしまい、マイクも客にとられ、大パニックのまま中断して終了。

ビョークも激怒するし、ファンからはフジロック運営に苦情殺到だったらしい。

ただ、その話を聞いて、おれはシビれた。

サーチアンドデストローーイ!!!!

FUJI ROCKのアフターパーティーはイルミネーションで

トリのライブが終わってからも、楽しめるフジロック
特に夜のライトアップは圧巻だ。

フジロックのイルミネーション

汗で張りついたTシャツ。心地よい疲労感、山林から流れる涼しい夜風、ほどよいビールの酔い。森に施された幻想的なイルミネーション。

広場には多国籍料理の屋台。香辛料の匂い。それらが相まってまるで異国に来たかのような非現実的な気分に浸ることができる。

こんな所にちょっと意識し合ってるような男女が来たらもう、それから先はへヘイヘイだろう。

頬を赤らめた初々しいカップルがちらほらと仲良く歩く、青春としか言いようのない光景をそこら中で展開される。

汗まみれのTシャツを手にして「ほおら、びちょびちょだろう」と追いかけまわしてやりたい。

なにがイルミネーションだ。
働け。