この丸メガネはミュージシャンなの?

音楽ブログを早々に諦め、ゆるめのサブカルブログへ男は舵をきった

「運動すると自分の体からスポーツマンのオーラが出てダサい。僕は人前に出るのでやりません」甲本ヒロト

今週のお題「運動不足」

スポーツジムに通う女性

 

はてなブログをやり出して初めて知った、この「今週のお題」制度。
この企画は画期的な発明だと思う。

おれは音楽を作るのは好きだが、音楽ブログを書くのはそんなに好きではない。
むしろけっこう苦痛だ。

自分でも迂闊だったというか、致命的だったなあと思うのは、ブログを始めてからそれに気づいたことだ。


大きな理由のひとつとしては、まずおれが書くまでもなく、世の中には優秀な音楽ブログがいっぱいあるということだ。
つまりおれが書く必要がない。

必要がないと自覚しているブログの構成を考えたり、いろいろ細かく調べたりして執筆するのは、なかなかの虚無感を伴う作業だ。
少なくとも休日にやる作業ではない。

当初のおれのコンセプトでは、このブログは「これから音楽作りにトライする初心者がつまづく点を、同じように初心者のおれが同じ視点でかみ砕いて説明する」というものだった。

音楽制作は、やれコンプレッサーのかけ方だEQの設定の仕方だエフェクターのかけ方、プラグインのかけ方……など、聞き慣れない用語と操作方法のオンパレードだ。

DTM(パソコンでの音楽制作)をスタートした人間の9割は序盤で離脱していると断言できるくらい、最初の扉を開いてからのハードルが高かった。
そこで挫折しかけつつも、なんとか1曲つくれるところまで運良くきたスレスレのおれだからこそ書ける記事があると思っていた。

ただ、その曲を1曲作れるところまで、おれがどうやってきたかというと、それは諸先輩DTMerたちの初心者向けの音楽ブログを読んでである。

おれは気づいてしまった。
自分で書くより、おれが参考にしたブログを紹介したほうが、がぜん有意義なんじゃないか? と。

世の中には、おれが思った以上に良質の音楽ブログが揃っており、コンプレッサーだなんだ各々がその得意分野にて初心者向けの良質記事を公開している。
ただ検索してタイトルが並んだ段階で、それが使えるページかどうかまでは、なかなか判断が難しい。

なにがムカつくって、作業に困って検索かけて、見出しだけ良いクソ記事を読まされるときだ。
そう、良質な音楽ブログの10倍くらいの数でカスみたいな内容を公開して広告収入を得ている音楽ブログがあるのも事実だ。

おれはそういった"はずれ記事"を掴んでしまう度に、静かな怒りを著者ブロガーに向けてきた。
おれは思った。
おれが新たに音楽ブログを始めることは、イコールこの世に新たな "はずれ音楽ブログ" をひとつ追加するだけではないか、と。

なので、仮におれが初心者DTMerたちに教えるものがあるとすれば、それは自分が参考にした音楽ブログのリンク集を作ることくらいだ。

とまあ、そんな思考の果てに、おれは音楽制作ブログというテーマをほとんど捨てるに至った。
今は「音楽作りが好きなメガネが気まぐれに何かを書くブログ」だ。
ぼんやりにもほどがある。

ただ人間というのは、なんでも選んでいいよと言われると、なにも選べなくなってしまう生き物だ。
会議でもなんでもテーマを絞るほどに議論は活発化するというのは定説だ。

そこで冒頭の今週のお題」という企画は素晴らしいという結論にたどり着く。

で、ここからが今週のお題の「運動不足」の話ってわけだ。

「運動すると自分の体からスポーツマンのオーラが出てダサい。僕は人前に出るのでやりません」甲本ヒロト

日本に生まれロックが好きになった人間で、甲本ヒロトに憧れなかった人間などいるのだろうか。
日本に生まれロックが好きになった人間で、甲本ヒロトの言葉に一度も影響されていない人間などいるのだろうか。

そのくらい神格化された男の言葉は、ときに誰かの人生を左右したりもする。
そして困ったことに、ヒロトの放つ言葉はかなりの率で極端だ

上の「運動すると自分の体から〜」のくだりは数年前のインタビューでヒロトが言ったものだが、それを読んだ直後におれの心は「もう一生走らない」と固く誓っていた。

スポーツマンの持つある種のダサさ。
スポーツマンだから持ってしまうネガティブ要素。
明言化されていなかったため、今まで考えたこともなかったが、言われてみれば確かにわかる。

頭っから「スポーツは良いものなり」とされたこの国で、この言葉をぱっと出せる固定概念の無視っぷりは、さすがはカリスマロッカー・甲本ヒロトである。
その言葉にぱっと影響されたおれは、さすがでもなんでもない。

とにかく、この言葉を聞いてから、おれにまた一つの美学が生まれた。
運動しないのは逆に格好いい」だ。
そしてその信念に基づいて、おれは数年間、いっさいの運動をおこなっていない。


人間の人生というのは、選択肢の連続だ。
そしてその選ぶ判断基準は、こういったちょっとしたきっかけで左右されるんだなあ、と改めて感じ入っている次第である。
横になって、ハートチップルを食いながら。

ちなみに私は、スポーツ観戦は大好きである。
ダルビッシュサイ・ヤング賞を獲れますように!