今週のお題「いも」
いやー、以前にも書いたが、生粋の秋冬フリークなだけに、最近の涼しさはテンションが爆あがりする。
正直、暑いとブログどころじゃないし、創作意欲やら執筆意欲やらを体内で生存欲に回して、ぎりぎり日々を乗り切ってるくらいだから、ブログの更新頻度が最近好調なのも納得である。
ーーということを無表情の下に考えながら今日も生きた。
イモの前に餃子の話
まずはもう定番となった脱線からのスタート。
今日は珍しく仕事で出張があり、宇都宮まで行ってきた。
クライアントからの直で会いたいという要望を、今までのらりくらりと巧みにかわしてきたのだが、とうとう直に足を運ばないといけない事態になったので、しぶしぶ行ってきたのだ。
もちろん「しなきゃいけない事態」が良い意味を持つことなんてない。
のらりくらりだけは天才的なスキルを持つ私が、県をまたいで相手のもとに出向くなんてあって年に3回とかだ。
ただ行くと決まったらしょうがない。おれは覚悟を決めた。
覚悟を決めると、妙に柔軟な環境適応能力をみせだすのが私だ。
栃木県宇都宮市に降り立つなんて人生で初めてでおまけに新幹線も使えるので、どう考えても浮かれて良いような状況ではないにも関わらず、どこか小旅行気分でテンションが上がってきた。とりあえず駅弁は必ず買おう。
で、昨夜から資料作成もそこそこに宇都宮の名物やグルメを調べまくっていたのだが、ここにすごいトラップがあった。
宇都宮は餃子の街だったのだ。
クライアントとの商談は15時から。
ランチはどうしたって宇都宮になる。
で、宇都宮は餃子の街で、餃子にはニンニクが入っており、ニンニクはにおいが強いという特徴を持つ。
先にもいったように、今回は良い理由で宇都宮にいったわけでない。
ニンニク臭を漂わせながらの登場が、笑い話に変えられるような状況下ではないのだ。
しかし、昨今のコロナ事情により、商談でのマスク着用は必須とされている。
マスクがあるならバレずにいけるか……。
おれは迷った。
しかし驚くべきことに、気づくとおれは、餃子屋の店内のテーブル席で悩んでいたのだ。
体は正直だった。
脳とは無関係に、おれの体を餃子屋に滑りこませたのだ。
そしてこの期におよんでも悩んでいるおれに決断を迫るように、いい笑顔のおばちゃんが焼き立ての餃子を運んできた。
どうやらおれの体は、無意識のうちに餃子定食の注文まで済ませていたようだ。
おれは覚悟を決めて、箸をとった。
「その黒胡椒をたっぷりお皿にとって、お酢でちょっと湿らせて食べてみて。餃子のタレより美味しいから」
と、おばちゃんに地元民のたどり着いた境地的餃子の食べ方を指南してもらい、それがあまりに美味かったので、おれはおかわりまでした。
ごちそうさまでした。
イモの聖地・小江戸川越
で、今日のテーマが「いも」なのだが、おれはかつて、さつまいもの街・埼玉県川越市にて長きにわたり生活していた。
川越は気軽にいける観光地として小江戸とうたい、蔵造りの建物から恋愛の神社まで、街ぐるみで様々なものをプッシュしているのだが、中でも「サツマイモ」は何十年にもわたりPRしてきている定番の川越名物だ。
いろいろな店がサツマイモを使い、多種多様なメニューを考案して切磋琢磨している。
が、致命的なことに、おれはサツマイモが好きじゃないのだ。
なので、正直イモスイーツという言葉を聞いても全然ピンとこないし、個人的な年間消費率も1グラムあるかないかだ。
たぶん雨水の方が多く口に入っている。
が、そんなイモ嫌いのおれが目を輝かせるイモスイーツがひとつだけあるのだ。
イモ嫌いだからこそ、本当の傑作がわかるってもんだ。
ここからはイモヘイターならではの偏見が入り混じるので話半分で聞いてください。
面倒くさいイモヘイターがなんか言ってますよ。
まずおれは創作スイーツの中でも、既存のスイーツに混ぜてみました系はNGだ。
たとえばサツマイモだと、ソフトクリームに混ぜてサツマイモソフトだとか、サツマイモシュークリームだとかのそれ系の類いだ。
こいつらはまあたしかにうまいのだが、それはメインであるソフトクリームがうまいのであって、イモの要素を抜けるなら抜いてもらったほうがありがたいとイモヘイターは考えてしまう。
川越でも名店の菓匠右門というところが出していて、小江戸の街歩きデートをするカップルたちが手にする光景はもうおなじみだ。
これもおれのマイナス点に大きく影響している。
次にあれなのが、小江戸おさつ庵という有名店が出しているおさつチップといった類の要するに素材をそのまま活かしました系だ。
イモヘイターからすると、そもそも素材が好きじゃないんだから、それを活かされても困りますわというのが本音だ。
ちなみにおさつチップはカップから花びらのようにサツマイモが飛び出していて、そのインパクトある絵がSNS映えすると評判である。
ソフトクリーム同様に、小江戸の街歩きデートを楽しむカップルたちが手にする光景はもうおなじみだ。
ソフトクリーム同様に、おれのマイナス点に大きく影響している。
イモ嫌いにこそ食べさせたい最強のスイーツ・べにあかくん
で、イモヘイターが選ぶ、唯一これだけは食ってくれという商品が、
創業明治20年の老舗名店・くらづくり本舗の「べにあかくん」だ。
最初に食べた時の衝撃はすごかった。
腹減ったしカラムーチョとかないかなと台所探してもなにもなくて、テーブルの上にこいつだけがぽつんと乗っていたのだ。
これ以上ないほど「しゃーない」を具現化した顔で頬張った私の瞳孔が、瞬時に見開かれた。
「うまい、うますぎる!!」
そう感動で声をあげるくらい美味かった。
おれの知ってるイモじゃない。
ちなみに上のセリフでニヤリとした方や「違う菓子やん」って思った方は、まず間違いなく埼玉県民ですね。
とにかく、べにあかくんはマジで凄まじく美味い。
イモとしての限界値超え、イモのピリオドの先へといっている。
まずそもそもでスイートポテトいうスイーツ自体が、おれは発明だと思っている。
クリーミーな生クリームの風味と、サツマイモのこってりした甘さと風味との意外なるマリアージュは、いったいだれが発見したんだと褒め称えたいくらい、イモ嫌いが思うイモの苦手たるゆえんの要素を、すべてプラスへと転化している。
それを老舗中の老舗が工夫をこらして目玉商品にするまで洗練させてるのだから、美味くないわけがない。
食の逸品コンクールや料理王国100選など、実態は知らないがなんか栄誉がありそうなコンクールを受賞しまくっているのも納得だ。
もしお近くに、私同様のイモヘイターがいましたら、有無を言わさず口に詰め込んでみてください。
それくらいの威力がある大傑作な商品です。
では、おやすみなさい。