この丸メガネはミュージシャンなの?

音楽ブログを早々に諦め、ゆるめのサブカルブログへ男は舵をきった

feat.を人生で使う日がくるなんて思っていなかったよ

お題「#この1年の変化」

ROPEジャケット

自粛生活をきっかけにハマった音楽制作のディープな沼

生きていると何が起こるかわからない。

言わずもがな、この1年は激動だった。
未知のウイルスで社会情勢が大混乱し、生活様式ごと変化が訪れるなんて、デロリアン2019年のおれへ伝えにいったとしても、おれがちゃんと信じてくれるかわからないくらいの変化だ。

『今日ドライブしてたら、銀色の車からやばい目をしたメガネが降りてきて「マスク買え」「トイレットペーパーは絶対に切らすな」と意味不明なことを言われた。ニュータイプのあおり運転か』

そう日記やTwitterに書く程度で、まともにとらえない可能性のほうが高い。
それくらいの非現実的な変化だった。

まあこのニューノーマルな生活に、不満や不安やグチは尽きない。
ただネガティブなことばかり言っていてもしょうがない。

それに不要不急の外出禁止を余儀なくされたこの異常な自粛生活が、おれにポジティブな変化をもたらした部分もある。

音楽制作へのどハマりだ。


前からちょこちょこピコピコと触っていたDTM(パソコンを使った音楽制作)だが、狭い我が家でひとりで遊ぶしかない自粛生活をきっかけに、どっぷりとその沼へとつかることになった。

去年春から夏にかけコンプだEQだのミックス知識を蓄え、曲想を練り、9月にHipHopなのかなんなのかわからないガチャガチャしたアルバムを出した。予想外に売れた。

で、それがまわりまわって、今月とある歌姫と共に、初めてのラブソングをリリースすることになった。

自分が真顔でフィーチャリングとか言い出すなんて、1年前は思いもしなかった。
ただ何がきっかけにせよ、新しい扉を開くのは良いことだ。

見知らぬ歌姫とフィーチャリング曲をリリースするまでの迷走

この曲の原型を作ったのはだいぶ前だ。
ラブソングといっても、このこじらせメガネはストレートに愛を訴えることをしたがらない。

で、やはりできたのは、いびつな愛の歌だった。
とらえようによっては、意味がわかると怖い歌になりかねない歌詞だったが、おれはけっこう気に入った。
曲名は、歌詞に出てくるアイテムから『ROPE』と名づけた。

穏やかなメロディーに、悲しみと喪失感と安堵感が混ざったリリックが特徴のこの曲は、響く人には響くだろうなという、ある種の魅力があるように思えた。


【ROPE(feat.詩歩)】

youtu.be

 

が、作るだけ作っておいて、ここで困ったことが起きた。

いかんせんおれのとち狂ったボーカルでは、この繊細な歌をまったく歌いこなせないことに気づいたのだ。

「この子、本当に私の子かしら?」
そう首をかしげるほど、自分の遺伝子と異なる我が子を前に、おれは途方にくれた。
そして、こいつは手にあまると判断したおれは、パソコンのフォルダの奥底にこの曲を封印した
おふだを巻かれて誕生直後に捨てられた飛影の姿が脳裏に浮かんだ。


そしておれはシャイニングスターな歌姫・詩歩の声に出会った。

で、時はたち、今年1月の日曜日の深夜。
おれはいつも通りの日曜深夜の時間を送っていた。

「寝たら月曜がくる。寝たら月曜がくる。」
サラリーマンの悲しい習性だ。
寝ることによって、休日に自らとどめを刺してしまうという謎の思想に支配されているおれは、寝落ち寸前の中、なんとか日曜を長引かせようと奮闘していた。

で、いつものようにYouTubeをはじめ、片っ端からネットをさまよう中で、おれは「詩歩」というボーカリストの存在を知ってしまった。

その声におれは衝撃を受けた。


ちなみにおれは、自分のボーカルにはすこぶる評価が甘い、というか、こちとらサラリーマンですがなにか? くらいクオリティに対して無責任に開き直っているが、人のボーカルのときは割とシビアだ。
特に女性ボーカルにはうるさい。

技術の高い、いわゆる上手い人間はいっぱいいるが、大事な要素は技術より声質だ。
高音がどれだけ出せるかなんてどうでもいい。

で、詩歩嬢のあどけなくも芯があり、普通に歌うだけで儚い切なさが漂うその声を聴いたとき、直感的におれは思った。
あの封印していた曲を歌うのは、この人しかいないと。


youtu.be

 

ちなみに詩歩嬢は「シャイニングスター」という、おれの知らない界隈では定番化しているアニソンライクな曲のボーカルをとっていることで知られているようだが、おれが惹かれたのは、オリジナル曲の「そっくりだね」の歌声である。

最初に『そっくりだね』を聴いたときは「これだよ!」と思った。
続いて、『シャイニングスター』を聴いたときは「そっちじゃないよ!」と思った。

これ同じ人かと思うくらいギャップを感じたが、それくらい表現力に幅があるボーカルということもわかった。
頼む前から、超頼もしい。

そしておれは気持ち悪いDMを送った。

おれは詩歩嬢のTwitterを探しだし、日曜の夜中にもかかわらずDMを打った。

『いま偶然詩歩さんを知った者です。走りました、電撃が! この曲をうたってください。もうあなたしかいない』
みたいな内容の、興奮と気持ち悪さがビンビンほとばしる文面だった。
これにノイズまみれのデモを添付して送った。

とはいえ、近況を見る限り、しばらく本格的な活動を休止していると思われる詩歩さんだ。
キモい文章をさっ引いても、まあシカトだろうなという諦めもあった。

しかし、ものの1時間もしないうちに彼女から返信がきた。
ぜひ歌わせてほしいです」と。

「おおう、ジーザス…」
おれは天を仰いだ後、「もうキャプチャとりました。今の発言は取り消せませんから」と書きたい衝動を抑えて、「ありがとうございます!」と返信した。


で、その2週間後には、詩歩嬢と初めてのスタジオに入り、そのまた2週間後が今である。


そしておれは初めてづくしの曲をリリースした。

という流れで、初めてのラブソングにして、初めてのfeat. おまけに初めてコンプラ的にセーフな曲、『ROPE』がリリースされた。

最初の構想ではキレッキレのラップで歌中にカットインしようとか考えていたのだが、KYメガネの嫌がらせコーナーにしかならないことに気づき、おれは無言を貫く判断をした。

結果、大正解だった。

各音楽ストリーミングサービスで配信中なので、ぜひぜひ聴いてみてください。

 

linkco.re


こんな感じに未知の人と知り合い、共同で物を作って発表するのは初めてだったので、とても新鮮で刺激的な経験だった。

ひとりで好き勝手にガチャガチャした音楽を作るのも楽しいけど、人とつながりを持つのはやはり大事というか、やっぱり良いものです。HipHopっすね。

外出自粛の生活が、まわりまわってこの共同リリースを生んだかと思うと、なかなか感慨深いものがある。

ではでは〜。

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