今週のお題「下書き供養」
またしても下書き供養。
この機会に駄文を放出しておこう。
ここ数年、一気に知名度を獲得した概念「サンプリング」、そして男子なら誰しも一度は憧れる機材「サンプラー」について書いた内容だ。
- サンプラーってなに?音楽制作してても知らない機材や理論がいっぱい
- 楽器弾けない、音楽理論ゼロ。そんな連中がサンプラーを育てた。
- サンプリングはパクリか?
- 「サンプリング」のネーミング効果
- 誇らしい。サンプラー代表は日本製だった
- 私のおすすめサンプラー・ポケットオペレーター"PO-33 K.O!"
- やっぱりサンプラーはハードがいい
サンプラーってなに?音楽制作してても知らない機材や理論がいっぱい
DTMだトラックメーカーだなんだ、いかにも音楽知ってますよみたいな顔をしてブログを書いているが、実は素人になにかが生えたような知識しかない。
音楽の機材記事や雑誌を読んでも、知らない単語がそこら中に出てくる。
もっと言えば、持っている録音機材やシンセのツマミとかにある英語もよく意味がわからないままグリグリ回している。
でも丸メガネの繊細そうなツラに反して、細かいことを気にしない文化系パンクさが売りなので、わからないことが全然気にならない。
作曲でもそうだ。
様々な音楽理論が溢れかえっているが、わからないことだらけだ。
数十曲作ってはいるが、コード展開だコード理論だなんだとさっぱりだ。
たまに調べるけど、覚えられない。
覚えられないけど、気にならない。
これはたぶん、音楽理論に詳しい奴が作る音楽が、決してかっこいいと限らないことが多いのも要因のひとつだと思う。
理論、必須じゃないじゃん。って思ってしまう。
あと前に世界の坂本龍一が、『音楽理論より感覚が大事』的なことを言っているのを知って、教授がそう言うなら理論やっぱ必要ないじゃん、という考えにますます拍車がかかった。
YMOが味方なら、もう怖いものはない。
まあそんな感じで、私は音楽理論軽視派を貫いている。
で、この話が今回のサンプラー話への伏線なわけだ。
楽器弾けない、音楽理論ゼロ。そんな連中がサンプラーを育てた。
音楽好きが当たり前と思っている知識や言葉は、意外とビギナーに知られていないことが多い。
サンプラーやシーケンサーという言葉はなんども聞いているが、ぶっちゃけ割と最近までおれはなんなのかわかっていなかった。
サンプラー【Sampler】とは?
サンプラーが一体なんなのか知らない人は多いと思う。
サンプラーは音をサンプリング(標本)して好きなタイミングで鳴らせる楽器である。
要するに「レコードやマイクから音を録音→パッドを押すと再生」というだけのガジェットだ。
こいつがあれば生活音や普段の会話だって、ビートに早変わりだ。
サンプラーの起源をたどると、元々はオーケストラの楽器を簡単に使いたくて、いろんな音を録音しまくったスイッチを並べまくって、それをプッシュして再生させようって単純な発想から始まった機材だ。
そして"センスだけ"に頼る音楽制作が可能となった。
サンプラーの登場により、ドラムの叩けない奴がプロのドラム音を操れるようになり、ギターの弾けない奴がプロのギター音を操れるようになった。
楽器弾けない、音楽理論わからない。でもあの曲をここで切ってこの曲と組み合わせたら格好いい気がする。
そんな潔いまでに"センスだけ"の連中が、このマシンを高度に操り、現在のHipHopのビートを作りあげてきた。
元々のハードのデザインは、四角い箱に触り心地の良さそうなゴム製のパッドがついているのが定番の無骨なマシンだ。
マイクやデータ転送などでアサインした音を、パッドを叩いて音を再生する。
ここ数年、長く静かに指ドラムがきている。
このパッドをペコペコ叩いて格好いいドラム音を鳴らす人が増えている。
動画を観てるとすごく欲しくなるガジェットだ。
サンプリングはパクリか?
最近よく聞く「○○をサンプリングしており〜」というのは、要するに別の他人の音源を持ってきて、別の曲に組み込んでいることをさしている。
サンプリングは特に日本においては、まだ比較的新しい文化で、この手法には賛否両論ある。
基本的には他人のつくった在り物の曲を取り入れて、編集して自分の曲とする結構タブー的行為なので無理もない。
特にオリジナル信奉の強い日本だと「パクリ」という強烈なパンチラインで即ネガティブなレッテルを貼られる。
サンプリングがパクリか否か。
これは音楽シーンにおいて、永遠のテーマである。
なので、世界各国でも著作権を巡って数々の訴訟騒ぎが起きている。
ちなみにおれはもともとサンプリング否定派だったが、カニエ・ウエストを知って、すごいものはすごいとコロリと寝返った。
とにかく、原曲をまったく異なるクールな曲に変貌させるセンスは圧巻で、カニエを聴いてからサンプリングに抵抗がなくなった。
なんていうか「かっこいいコラージュ写真」を見る感じで、自分の中でしっくりきた。
たしかにあれはパクリじゃない。
ちなみに余談だが、おれのPCで「かにえ」と打って変換したところ、なぜか「蟹江」か「カニ絵」の二択しか候補が出てこなかった。
「蟹江」により名優・蟹江敬三が頭に浮かび、「カニ絵」で謎のゆるキャラみたいな女子のカニが頭に浮かんで、おれの頭にカオスとストレスを作っている。
「サンプリング」のネーミング効果
とはいえ、雰囲気的に日本の世論も徐々に、音楽における他社創作物の引用行為を容認してきている気がする。
というか、フリースタイルダンジョンのおかげか、今まで「パクリ」としか呼び名のなかった引用行為に、新たに「サンプリング」という"呼び名"がついたのが、すごく大きい気がする。
「デブ」と「マシュマロ系」で印象がまるで異なるように、同じ行為を指しても「パクリ」と「サンプリング」は受ける印象がまったく違う。
このネーミング効果が異常に強いのだ。
なんなんだマシュマロ系女子って。
見事すぎるだろ。
誇らしい。サンプラー代表は日本製だった
「サンプラー = HipHopの機材」のため、生まれも育ちも日本とは関係なさそうだが、実は違う。
なんと、ヒップホップの進化の中で革命とも言える役割を果たしたサンプラーは、れっきとした日本生まれでヒップホップ育ちのAkai MPCだ。
もはやMPCなくして、ヒップホップ音楽は生まれていないと言っても過言でない。
これにおれは衝撃を受けた。
アメリカのブロックパーティーでホットドッグを食って、
「やっぱ本場は美味いっすね」と隣のボブに話しかけたら、
「NoNo、ソノソーセージハニッポンハムダYO。パンモヤマパンダYO」とボブに返されたくらいの衝撃だ。
わかりやすくするために出した例えのせいで、逆にわかりづらくなるのはいつものことだからもう気にしない。
ちなみにセブンイレブンのホットドッグの美味さは侮れない。
日本メーカーのサンプラーでは他では、ROLANDのSPシリーズも有名だ。
ここのリアルタイムで音に劇的な変化を与えるDJエフェクターは、プロからも評価が高く、ツマミをくりくりするだけで、友人から「すげえ!」と言われるそれっぽい変化を色々加えられる。
私のおすすめサンプラー・ポケットオペレーター"PO-33 K.O!"
サンプラー買いてえ!
となったとしよう。
これは音楽好きたるもの一度はかかる病である。
そこで、めっちゃオススメしたい一台がある。
それがteenage engineeringというところのポケットオペレーターというシリーズのK.O!だ。
AKAIやローランドももちろんいい。
でもおれがダントツでオススメしたいのはK.O!だ。
こいつの魅力を端的に説明しよう。
魅力その1: 安い
ローランドとかAKAIは高い。
安いやつでも3万だなんだって、ビギナーが冒険するには足がすくむ値段をしている。
そしておれの統計では100人中97人は、勢いと雰囲気だけでサンプラーを買ってしまい、永久凍土に眠らせてしまう。
無謀な冒険は勇気と呼ばない。
じゃあK.O!はいくらかって?
1万ちょいだよ!!!!
魅力その2: 小さい軽い
もうめちゃくちゃ小さい。
手のひらサイズである。
そして基板むき出しだからめっちゃ薄い。
ローランドのSP-404SXとか"コンパクト"と言われてるサンプラーでさえ、ハードカバーの太宰治全集の一冊分くらいのウェイトとサイズあるからね。
その点、このK.O!はマジでポケットに入るからね。
軽いどころじゃなくて、人からバッグにこっそり入れられていても絶対気づかないレベルだよ。
もともとバッグに何も入ってなかったらそりゃ入れられたことに気づくけど、だったらそいつはなんでバッグ持ってたんだって話になるじゃない。
疲れてきて話が脱線しだしているじゃない。
魅力その3: 高機能のエフェクト群
これはびっくりしたよ。正直なめてた。
おもちゃ程度に考えていたけど、余裕でライブで使えるレベルよ。
DJエフェクターが、めちゃめちゃいい。
ただ超シンプルなデザインに超絶多機能を詰め込んであるため、意外と操作にクセがある。
「アレとアレを同時に押すとコレになる」みたいのが結構あって、直感的な操作という点では微妙ではある。
だから無意識に予期せぬ機能を発動させてしまうこともある。
前に知人とスタジオに入った時、こっそりトラックに割り当てていた、深田えいみのあえぎ声がエンドレスで流れる事故があった。
BPM160のハイスピードで、あんあんあんあああああってエフェクト付きのあえぎ声が大音量で流れる空間は、そりゃもうカオスだったぜ。
まあそれはいい。
とにかく、このガジェットはサンプラー界の革命だよ。
やっぱりサンプラーはハードがいい
サンプラーも今やDAW内に標準装備されているのが普通。でも単体の楽器として所持して活用している人はいっぱいいる。
たしかにサンプラーにはなにかこう機能ではなく、ハードを所持したい妙な魅力がある。
何もできなくとも、何かできる気分にさせてくれる不思議なガジェットだ。
なんていうか、あの無骨なルックスが大好きなのだ。四角い箱に触り心地の良さそうなパッドがいくつも並んでいて、ってこの話さっきも書いた気がする。
長文を書いたせいで、脳のメモリが限界にきている。
音楽理論ゼロの私が作った素敵な曲を聴きながら、今日はお休みなさい。