今週のお題「わたしのプレイリスト」
今週のはてなブログのお題が「わたしのプレイリスト」だそうで。
魅惑だ。実に魅惑のお題だ。
これで胸のときめかない音楽ファンはいないだろう。
この話題だけで、HUBで5時間はつぶせる。
音楽プレイリストとプロ野球歴代最強オーダーの話は、いくつになっても何百回しても飽きることがないロマンである。
DJ気分で曲をセレクトして、ベストな並びをつくる快感。
それをドヤ顔で人に共有する快感。
この曲知らない、誰の曲?と言われる快感。おまけにセンスいいねと言われる快感。
この快感はあなどれない。たぶん世界共通の感覚だ。
この快感がなければ、現在のHipHopカルチャーだって存在しないのである。
でもこの話を深掘ると5時間コースになるので、今度いっしょにHUBに行ったときにでも。
スタート直後の脱線。なぜ歌詞の意味がわからないのに洋楽にのれるのか。
このブログをちょいちょい見ている人ならわかるだろうが、おれは脱線してから本編に入る癖がある。そして相当な洋楽かぶれだ。
中2の頃から日本の流行りに背を向け指を立て、海の向こうの音楽に惹かれてきた。
最初は "洋楽を聴いている自分" に酔っていたことも確かだ。
洋楽とタバコと氷結は、いつの時代も尖った中学生を酔わせる悪魔的アイテムだ。
もちろんあちらの歌詞はすべて英語なので、歌われている意味もわからないまま頭を振っていた。
そして恐ろしいことに、大人になった今も歌詞の意味はわからないまま頭を振っている。
ちなみに脳科学的には歌で快感を得るにあたり、歌詞が聞き取れるかどうかは大して重要ではなく、"人間の声"と認識できているかどうかが重要だそうだ。
友人のATSUSHIがそう言っていた。
ATSUSHIは天才的といっていいホラ吹き野郎だが、それでもこの説は合っている気がする。
てかそうでないと、歌詞が一切わからないまま頭を振ったり、感動の涙を流したりしているおれが、ただの情緒不安定野郎になってしまう。
この歌詞がすごいと思ったJロック
てなわけで、今回おれのSpotifyのプレイリストを公開したいなと思ったのだが、やめることにした。
ざざっとプレイリストを見返してみて、ポカンとされると確信したからだ。
なんていうか想像以上におれ色のリストだった。洋楽ばかりなのは前述の通りで、あとは性別が異常に偏っている。基本的に女性ボーカルが苦手なんで男性ボーカルばかりで、ダミ声率も異常に高い。
ジャンルの偏りも激しい。ごりごりのUK RockとHIpHopばかりで、みんなが大好きなポップスの入り込む余地がない。
むさくるしい男子校の文化祭状態であり、揚げ物ばかりの弁当状態であり、とにかく称賛を浴びられる気がしない。
なので、今回はコアな好みは封印して、ちゃんと日本の音楽でいこうと思う。
せっかくなんで歌詞の意味がわかる利点を生かして、「この歌詞はすごい」と思った衝撃度を基準に選んでみる。
この歌詞はすごいと思った曲でつくるプレイリストだ。
いくつか制限は設けないと面白くない。
HipHopとフォーク系は、そもそも歌詞ありきのものが多すぎるので今回は対象外。
残念だが、東京生まれヒップホップ育ちは渋谷か六本木に置いておこう。
J-POPは色々良いのがあるに違いないんだけど、その色々を知らないので対象外。
てことで、Jロックでいきます。
とはいえ、まだ一曲も頭に浮かんでいないので、リストは控えめに3曲。
3曲に絞ったことで緊張感が高まってきた。
己のセンスが問われる戦いだ。
ここで世論にこびて「うっせぇわ」をリスト入りさせるわけにはいかない。
そういうのは一番フロアが冷めると知り合いのDJが言っていた。
そう、知らない曲で皆を踊らせてこその名DJだ。
よしいくぞ。
1曲目 【ロックンロールと五人の囚人】髭
いきなりなんだこれって思った方が多いと思うし、そこを狙っていったのだが、髭(ひげ)というロックバンドの曲だ。
ロック好きの友人がカラオケで歌っているのを聴いて、おおこれは良いと思った。
とにかく歌詞のワードの選び方、絶妙な暗喩がおれ好みで、とにかくかっこいいと衝撃を受けた。
MVもすごく好みだった。
ロックンロールは死刑 熱が冷めたらそれが合図
ロックンロールは死刑 夢が覚めたらそれが合図
忘れてしまいたいだけ すべてなくしてもいいのさ
全部壊したいだけ 鉄が錆びたらそれが合図
これをカラオケで歌ってた友人に、「この曲の歌詞、すごいな」と言ったら「そう? どこが?」とポカンとした顔で返ってきたのを覚えている。
まじかよ。あんな白目を向いてノリノリで歌ってたのに、こいつ正気かよ。
おれはスマホで歌詞を検索して、そいつの目の前に突き出して熱弁した。
「これはつまり、この人生をロックに捧げたぞ、ロックで食えなかったらもう死ぬしかないぞって決意表明というか、覚悟というかまあそういう歌だよ。髭のメンバーが何人か知らないけどたぶん5人だろ? タイトルの5人はそこからきてるの。
で、この5人は自分の生き方・職業として、享楽的で刹那的で退廃的なロックミュージシャンを選びましたと。
ロックというツブシがきかない分野に人生を捧げたからには、もう一般社会には戻れないぞってな。
で、そのロックへの熱が冷めたとき、他に何もできない社会性ゼロのおれらは終わりだと。
『ロックンロールは死刑 熱が冷めたらそれが合図』ってそういうことよ。
『夢が覚めたら』も同じ感じ。冷めると覚めるで、うまくかけてる部分ね。
で、一番おお!ってなったのは、『鉄が錆びたら』のとこ。エレキギターの弦って鉄でできていて触らなくなると徐々に錆びていくのよ。
要するに、鉄が錆びたら=ギターを手にしなくなって時間が経っている=ロックへの情熱がなくなった状態、を暗に示しているわけよ。
やーやーこれめっちゃ格好いい歌じゃん」
そんなおれの怒涛の熱弁を、友人はとても眠そうな目でうなづいていた。
とにかくおれはこの歌すげえと思った。
2曲目 【JAM】THE YELLOW MONKEY
これもカラオケで別の友人が歌っているのを聴いて知った。
思えば、カラオケは自分の知らない歌に歌詞ごと触れられる良い機会だった。
もうこの曲については知ってる方も多いと思うが、終盤の例の部分の破壊力が本当に凄まじい。
その部分に至るまでの歌詞におれはそんなピンときていなかったので、ほんと不意打ちの衝撃を喰らった。
あの偉い発明家も 凶悪な犯罪者も みんな昔子供だってね
外国で飛行機が落ちました ニュースキャスターは嬉しそうに
「乗客に日本人はいませんでした」
「いませんでした」
「いませんでした」
いやー、今YouTubeの動画を検索がてら久々に聞きましたが、めっちゃいいっすね。
やっぱり上記の部分は、感極まるといってよいほどエモーショナルで、まんまと畳み込まれてゾクゾクしました。こりゃすごいや。
3曲目 【おどるポンポコリン】B.B.クイーンズ / ももいろクローバーZ 他
もうロックじゃないし。
知られてない曲どころか、全国民が歌えそうな勢いだし。
「知らない曲で皆を踊らせてこその名DJだ」と先ほど書いた人間のチョイスとは思えないセレクトだ。
けど、やっぱりこれしかないでしょ。
というか、本当にすごいなと、さくらももこは桁違いだなとやっぱり感心しちゃうので、胸を張ってこれでいきましょう。
いつだってわすれないエジソンはえらい人
そんなの常識 タッタタラリラ
ピーヒャラ ピーヒャラ パッパパラパ
ピーヒャラ ピーヒャラ パッパパラパ
ピーヒャラ ピーヒャラ おどるポンポコリン
ピーヒャラピーヒャラをこんな丁寧に書き写すときがくるとは思わなかった。
いやーしかしすごい。
抜き出した箇所だけでなく、全編を通して隙がなくすごい。
この歌詞のすごさ、センスの塊みたいなレベルの高さは、大人になってから気づいた。
シュールでユーモラスでサイケデリック、なのに超キャッチー。
今歌詞を見てもすごく新しい。全然古びてない。
古びようがない。
例えば自分がさくらももこの立場だったとして、日曜18時のアニメの主題歌に歌詞をつけてくださいって依頼がきたとして、こんな歌詞を作ることができるか。
絶対むりだ。
ふつうの国民的漫画家じゃこの詩は書けない。
現代の清少納言と評された文才を持つさくらももこにしか書けない歌詞。
改めて才能あふれる人だったんだなと思った。
さくらももこの今いる場所が、彼女の描く絵の世界と同じ景色でありますように。
4曲目 【ROPE】Mr.Morick feat.詩歩
最後はせっかくなんで、自分で作った曲を。ぼくらをつなぐロープをほどいたあと ひとりになった部屋たどった指で 思い出待っててねって きみの目を閉じた
ボーカルをとっているのは、シャイニングスター などの楽曲で知られる詩歩嬢です。
自分の性格とか好みとかガッツリ切り離して作った曲なので、今聴くと他人の作った曲みたいに感じちゃうんですが、いや結構いいっすね。良曲です。
哀しく優しい歌ですね〜。
ちょいちょい良い歌作ってるのでお手隙にぜひ↓
ではでは。