この丸メガネはミュージシャンなの?

音楽ブログを早々に諦め、ゆるめのサブカルブログへ男は舵をきった

池袋マゾヒスティックが解説する丸の内サディスティック

マーシャルのロゴ

丸の内サディスティックな夜

椎名林檎の名曲『丸の内サディスティック』を聴きながら今夜を過ごしている。
この曲はとてもオシャレでかっこいい。なんていうか都会の夜を感じる

マーシャルの匂いで飛んじゃって大変さ
毎晩絶頂に達して居るだけ
ラット1つを商売道具にしているさ
そしたらベンジーが肺に映ってトリップ

で、曲もそうだが、歌詞が魅力的すぎる。

上記で引用した部分しかり、初期の椎名林檎の歌詞はちょっと音楽に詳しい野郎共がグッとくるフレーズがいっぱい出てくる。ドライブ中にガールフレンドに知識をひけらかしたくなる単語のオンパレードなのだ。

「マーシャルってわかる? ギターのアンプでー、あ、アンプってのは――」
ベンジーってわかる? 昔ブランキー・ジェット・シティってバンドがあってそこのフロントマンが――」
「ラットってわかる? え、ネズミ? 残念ちがいまチュウ――」
といったクソみたいな会話が、この曲のリリース以降、星の数ほど車内で繰り広げられてきたかと思うと、その偉大さに改めて恐れ入る。

ただ、実際はこの話題で盛り上がれる可能性は極めて低く、そんな思いやりのある優しい女子がいたら、ラットの説明なんてさっさとやめてプロポーズしたほうがいい

あとおれが調べた統計上、椎名林檎が好きという女子とのドライブ中に良かれと思ってベンジーの曲をかけると「なにこの声?」と言われ大概チェンジを要求される。
グレッチで殴りたくなるあなたの衝動は理解するがここは抑えよう。
あなたがしたのはシーシャが好きという女子に紙タバコを勧めるに近い行為だ。

とまあ、そんなことを夜空に思いながら椎名林檎の歌声に浸る夜である。

丸の内サディスティックがいまだに人気の理由とは

ちなみに最近Yahooニュースかなんかで見たが、この曲はいまだにカラオケのランキングでTOP20に入っているらしい。
まじか、1999年リリースだぞ。25年も経つというのに。
なぜと思って調べると先達のサブカルメガネ達が色々と解説していた。

で、まあそれらを要約すると、
リリースからずーっと大人気なわけではなく、一気に神曲化したのはここ数年。この曲のコード進行が現在のトレンドにばっちりハマっているから。
のようだ。

この曲のコード進行、定番と化した現在は「丸サ進行」と呼ばれ、2020年代の数々のヒット曲で使われている。
おれが冒頭に書いた「なんていうか都会の夜を感じる」というのが、まさに丸サ進行の魅力で、ジャジーでメロウでチルなオシャレさをどうやっても醸し出してしまう必殺のコード進行のようだ。

リリース当時は定番ヒット曲でなかなか使われない珍しいコード進行だったが、時代は変わりみんな疲弊した。チルに飢えた時代になった。そしてこの進行は王道となった。

この必殺の進行に、耳馴染みの良いメロディーと、"This is 椎名林檎"というべきソリッドな歌詞の魅力が相まって、現在の驚異的なリバイバルヒットに至っているとのことである。

ちなみに余談だが、椎名林檎は「椎名」だけでも「林檎」だけでも伝わる気がしないというか、しっくりこないので結局フルネームで書いてしまう。This is 余談だ。

丸の内サディスティックの歌詞の意味を解説

丸の内サディスティックのヒット論を書いてきれいに終われそうなところだが、珍しくアルコール(クエン酸どばどばレモンサワー)をキメた今夜のおれはまだ物足りない。

せっかくなので、丸の内サディスティックの歌詞に出てくる用語解説をしよう。
完全に記憶に頼って書くので、話半分で読んでください。

リッケン620頂戴
19万も持っていない
御茶ノ水

リッケンはリッケンバッカーという名門ギターブランドのことである。ジョン・レノンが愛用していたことで知られる。620はシリーズ名。
御茶ノ水は東京を代表する楽器店のメッカで、19万はリッケンバッカーの販売額。ただし今リッケンバッカーを買おうとすると余裕で30万円以上はする。

椎名林檎リッケンバッカーは、ギブスという超名曲(一番好き)のMVで見られる。ちなみにこの曲はギスなのかギスなのかみんな曖昧なまま覚えている。
このMVはニルヴァーナというバンドのハート・シェイプド・ボックスという曲のMVをオマージュしており、歌詞のカートとコートニーとは――やばい止まらない。次だ次。

マーシャルの匂いで飛んじゃって大変さ

マーシャルとは「ロックの音」を作りだしたと言っていい老舗ギターアンプメーカーである。どこのスタジオにもライブ会場にもマーシャルのコンボ・アンプは鎮座している。
ただ「マーシャルの匂い」が何を比喩しているのかはよくわからない

ちなみに下の写真は世にも珍しいマーシャルの靴下(私物)だ。
いちおう匂いを確認してみた。
普通に飛んだね。大変さ。

マーシャルの靴下

マーシャルの匂い

 

ラット1つを商売道具にしているさ

ラットはエフェクター(ギタリストの足元によく置いてあるエレキギターの音を変化させる装置)の機種名。
ラットはギュワワーンという激しい歪み音を生む効果を持つエフェクター。「ラット1つを商売道具」って言葉は、なんていうか潔さここに極まりって感じでかっこいい。
吠えることしかできないのよ、あたしゃって感じ。

そしたらベンジーが肺に映ってトリップ

きました、ベンジー
伝説的なスリーピースバンド、ブランキー・ジェット・シティのギターボーカルを務めていたカリスマ・浅井健一の愛称である。ちなみに別箇所の「ピザ屋の彼女」って歌詞はブランキーの曲が由来になっている。
驚くほどかっこいいギターと、驚くほどピュアな世界観の曲、あと雰囲気とか色々含めて唯一無二。

ちなみにソロ作の「危険すぎる」って曲では、椎名林檎囁き声と喘ぎ声のみで参加っていうめっちゃ贅沢なコラボをしています。これがまた丸の内サディスティックのアンサーソングみたいな内容でめちゃくちゃ良いんです。

あと、漢が聴くべきロックバンドとしてブランキーと並んで語られる存在に、ミッシェル・ガン・エレファントというこれまた伝説的なバンドがある。

この二大巨頭、混同しやすいので要注意で。
ChatGPTでさえこの通りです。居酒屋の隣の席でこれ語ってたら耐えられず乱入しちゃうよ。

ChatGPTの間違い

 

そしたらベンジー あたしをグレッチで殴って

グレッチも名門ギターブランド。世界で一番美しいギターを作るメーカー。
で、ベンジーといえばグレッチ、グレッチといえばベンジーくらいに、浅井健一は日本のグレッチ使いの中で代表的な存在である。

とはいえグレッチでベンジーみたいな音を出すプレイヤーを見たことがない。どうやってあのドライに尖った色気のある音を出しているのか。

ついでに言うと、グレッチで女子を殴った男も見たことがない。ベンジーの愛機である1960年代のグレッチは70万円くらいするのだ。
もしもあなたがグレッチで殴られることがあったら、めちゃくちゃ怒らせたんだなと反省してください。

池袋マゾヒスティック

私のことである。
いやこんな歌詞ねえよ。

というわけで気持ちよく語り尽くしたので今日はもう寝ます。
ノープランで書き始めてよくここまできたよ。アルコールってすごいな。

ではでは、おやすみなさい。