今週のお題「最近壊した・壊れたもの」
モンブランらしきボールペンが実家にあった
お盆休みに帰省した実家でモンブランのボールペンを発見した。
電話機の横のペンやら鉛筆やらクリップやらが無造作に突っ込まれたペン立てに、例の白い星マークがしれっと立っていたのだ。
まさかモンブランじゃあるまいな、と思い救出してまじまじと見るのだが、本体にはしっかりと「MONTBLANC」と刻印されている。やはりモンブランのようだ。
【モンブラン(MONTBLANC)とは】
1908年ドイツにて創業。
最高峰の書き心地を誇る万年筆・ボールペンで名高い高級筆記具の代表的ブランド。
キャップヘッドの六角形の白いマークはホワイト・スターと呼ばれ、ヨーロッパ最高峰の山・モンブランの氷河を意味しており、ブランドロゴにもなっている。
とにかく実家の電話機横にいて良い存在ではない。
一応、親に「これ本当にモンブランかね?」と尋ねてみたが、
「は? ボールペンだよ」と返ってくるだけで会話にならない。
おれは自分の部屋に戻り、とりあえず状態の確認を始めた。
モンブランのマイスターシュテュックだった
ネットで調べてみると、どうやらモンブランの代表作「マイスターシュテュック」というモデルのようだ。
1924年に発売という長い歴史を誇り、高品質とデザイン性の高さゆえに「芸術品」とまで言われるペンらしい。
で、その価格を見ておれは驚いた。高い高いとは聞いていたが、なんと64,000円と出ている。
0がひとつ少なくても「たっけえな」と思わず言ってしまう額だ。
一応親にこれ6万円以上するらしいぞと言うと「嘘でしょ、6000円でも買わないよ」と返ってきた。さすが親子だ。
てかなんでその無用なモンブランがペン立てにいるんだという話だが、それが実家だ。
てか誰が買ったんだ。
マイスターシュテュックは壊れていた
ペン本体を詳細に調べる。
雑に扱われていただけあって細かな傷はついているものの致命傷というような傷はなく状態は良さそうだ。
しかし適当なメモ帳に試し書きをしようとしたら、そもそものペン先が出てこない。
なんじゃこれと思って分解すると、小さなバネがびよよんと申し訳なさげに転がり出てきた。
こんな哀愁のあるモンブランは見たことがない。
てか、なんで書けないペンがそのままの状態でペン立てにいるんだという話だが、まあそれが実家だ。
謎のバネは出てきたものの、替芯を入れたらなんとかなりそうだ。
とりあえず替芯ねえかなと思い、ダメ元で電話機横に戻り周囲の引き出しをあさると、まさかのモンブランのロゴのついた箱が出てきた。
ずばり替芯だった。
おれは机に戻りモンブランの復活にとりかかった。
替芯を取り出し、おもむろにモンブランの本体にはめこむ。
なぜこれを家族の誰も行っていないのかが不思議でしょうがない。
ゆっくりと本体にはめこんでいく。いかない。
そう、はめこんでいかない。
ここから先に進めない。
明らかに本体と芯のサイズが合っていない。
なんじゃこりゃだ。なんじゃこりゃの連続な日だ。
モンブランの箱に入っていた替芯が実はジェットストリームの芯だっというオチは実家ならありえるが、芯には誇らしげに「MONTBLANC」とプリントされている。
で、またしてもネットで調べると、どうやらモンブランはモデルによって芯が異なることがあるらしい。
つまり過去にモンブランの違うモデル用の替芯を買ってしまい、入らねえ面倒くせえもういいやと電話機横に置いて終了という流れが、かつてこの家の歴史上であったと思われる。
てことは、マイスターシュテュックにはまる替芯をおれが買えばいいわけだが、Amazonで芯の値段を見ておれの手は止まった。
--1,200円。
ちくしょう、なめてんな……。
普通に新品のボールペンが余裕で買える額じゃねえか。
どうするおれ。
おそらく今ネットで見ている芯は、99%マイスターシュテュックにぴったり合う。
だってマイスターシュテュック用と書かれているから。
しかし1,200円。
仮にもしここでギャンブルに出てまた誤った芯を買ってしまったら、それはただただ愚かだ。
うちが愚かなる一族であることが確定してしまう。
つまり、これはもはやおれだけの問題ではなく、おれの血族の問題ってことだ。
よし決めた。
東京に戻ったら伊東屋に行って店員さんに見繕ってもらおう。
おれは我が家の誇りのためにバッグにモンブランとバネをそっとしまった。
そんなお盆休みでした。
ではでは、今日はおやすみなさい。
仕事いきたくねえ。