この丸メガネはミュージシャンなの?

音楽ブログを早々に諦め、ゆるめのサブカルブログへ男は舵をきった

YAMAHAのエレキ「パシフィカ」を買って僕が感じたことのすべて

特別お題「わたしの2022年・2023年にやりたいこと

ヤマハ ・パシフィカのヘッド写真

指板のシールは決意の表れ

ぼっちのギター・YAMAHAPACIFICA(パシフィカ)」を買った。

先月か、いや先々月か。どっちかだ。
久々にエレキギターを買い替えた。

新しい相棒は、日本が誇る楽器ブランド・YAMAHAパシフィカシリーズPACIFICA311Hだ。
もう生涯お前一筋でいくというくらい、すでに惚れこんでいる。

パシフィカはビギナー向けのエントリーモデルといったイメージが強いギターだが、そのわりに近年やたらと話題にあがることが多く、徐々に気になり出して、ついに手を伸ばしてしまった。

話題にあがる要因としては、アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」の影響もさることながら、とにかくそのエントリーモデルにしては異常といっていいクオリティの高さだ。
純粋に楽器としての魅力に、多くのギタリストが気づき驚き拡散されていったという、名器として堂々たる正当な広まり方をしている。

2022年最後かもしれないブログ更新は、パシフィカへの愛を語ろう。
2023年はちゃんとギターを練習しよう。

ヤマハPACIFICA(パシフィカ)とは

1990年に発表されたYAMAHA製エレギギターのシリーズ。
YAMAHAが楽器作りで培った高度な技術を至るところに活かしており、エントリーモデルの位置付けでありながらプロミュージシャンにも利用されるなど、そのスペックの高さで話題となっている。
当初はハイエンドモデルのシリーズであったが、コンセプト・それに伴う仕様の変更を経て、2012年に現行ラインナップが確立される。
PAC100シリーズ、PAC200シリーズ、PAC300シリーズ、PAC600シリーズと複数のグレードに分かれ、下位機種でも基本的な装備は上位機種と同等になっており、出音・耐久性・弾きやすさにおいて、他社エントリーモデルとは一線を画す質の高さで知られている。

ちなみにおれが買ったモデルは、PAC300シリーズのPACIFICA311Hという中の中くらいのモデルだ。

パシフィカの中では、ちょっとクセのあるピックアップ配列(弦の下にある音を拾うパーツ)で、オリジナルハムバッカー & P-90タイプシングルコイルという一味違う装備をしている。

サウンドハウス

真面目でおとなしめのメンバーが多いパシフィカファミリーの中で、オールバックと思いきやこいつだけ後ろで長髪を縛っていたみたいな、ちょっととがった異端児タイプである。

 

パシフィカのボディ・ピックアップ写真

ボディ中心にあるクリーム色のパーツと銀色のパーツがピックアップ

異常な高評価の理由とは?実感したパシフィカのすごいところ

①ハムバッカー&シングルコイルのピックアップ装備は汎用性が最強。

パシフィカは音が良い--これはおれと言うより、他のギタリストがそうだというからそうなんだろうというところである。

正直YouTubeで他ギターとの比較動画を見ても、「うまい奴が弾くと全部よく感じるなあ」とぽかんとするばかりで、どこまでパシフィカが抜きん出ているのかよくわからない。ただその連中がパシフィカは凄いというから凄いのだろう。

おれがわかる範囲でいくと、全ラインナップのピックアップ(音を拾う部分のパーツ)が、ハムバッカー&シングルコイルの二刀流というのが、とにかく素晴らしい。
エレキギターの音の特徴、音の方向性を決定的に決めているのはピックアップである。

で、ハムバッカーは「ギュオーン」というぶっとい音。代表的なギターでいうとギブソンレス・ポールやSG。
シングルコイルは「ジャキーン」というソリッドな音となる。有名ギターでいうとフェンダーテレキャスターストラトキャスター

他設定である程度はカバーできるものの、やはり根本となるピックアップ要素は音作りでめちゃくちゃ大事で、エレキギターのプレイスタイルに直結もする。

で、パシフィカ はこの二種類のピックアップを装備しているのだ。
これは自分の出したい音の方向性さえ定まっていないビギナーにはありがたすぎる。
一曲の中でギター音を複数使う場合もうまく棲み分けができて最高だ。

②弾きやすい・持ちやすい・おまけに狂わない

フェンダーギブソンだと名の知られたメーカーの名の知られた機種。
果たしてそれらが機能性も抜群かというとそうでもない。

例えばレス・ポールはシンプルに重い。
おれみたいな軟弱メガネは持った時点でやる気が2割減する。

例えばSGはシンプルに持ちづらい。
上記レスポールの反省を受けてボディを軽くしたはいいが、それによりヘッドとのバランスがおかしくなり、手で支えないとヘッドが落ちてくる現象が発生する。
「もっと頭使えよギブソンさんよお」と思わず舌打ちが出るバランスの悪さだ。

例えばテレキャスターはシンプルに痛い。
工業製品としての出自を持つエレキなんでといわんばかりのカクカクしたボディは、人体との相性はすこぶる悪く、なぜそこがというパーツがなぜそこにという骨にぶつかり痛い。構造上チューニングも狂いやすい。
「ギター弾いてからギター作れよフェンダーさんよお」と思わず罵声が出る無骨な作りだ。
(レオ・フェンダー氏は電気技師であり、ギターの演奏にはほとんど興味がなかったらしい。そこがかっこいいけど)

ただ、上記モデルは輝かしい歴史と伝統を背負っており、今更うかつに仕様を変えられるものではない。

そんな中パシフィカは伝統のしがらみとは無縁の無名の利を活かし、大胆なアップデートを経て2000年代の人間工学をフルに活かしたフォルムを作り上げた。

基本は弾きやすさに定評のあるストラトキャスターモデルを踏襲しているが、それをひと回り小型化させており、とにかく弾きやすく持ちやすく体が小さい女性やキッズにもおすすめだ。
ネックはすべすべの優しいサテン仕立てだ。

おまけに、私の買ったPAC300シリーズだとペグがロックタイプナットにタスク(人工象牙と、チューニング観点からも申し分がない。
むしろ私のスキル不足が申し訳がない。
そんな至れり尽せりの仕様だ。

音とはがっつり関係なくも、長く付き合うのに大切な基本がしっかりとしているのは、さすが安心と信頼のヤマハだ。

③初心者にも威圧感のないブランド力

これはおれが病的なだけかもしれないが、名門ギターブランドに対する畏怖の思いがある。
フェンダーUSA、ギブソンUSA……そりゃもちろん欲しい。

欲しいのだが、名だたるギターヒーローと同等のモデルを自分が使ってよいのか?
このギターはおれ以外の誰かに買ってもらったほうが幸せなんじゃないか?
ああ恐れ多い。こわやこわやのコンプレックスだ。

同じ理由で、イチローモデルのグローブやエアジョーダンが買えなかったことを思うと、誠実で微笑ましいメガネだなとの自画自賛さえ出てくる。

だから、おれが今まで買ってきた3本のギターも、ストラトキャスターフェンダージャパン製、SGはエピフォン製ジャガークワイア製と、メーカーがエントリーモデルとして揃えてくれたシリーズばかりだ。それがおれなりの誠意だ。
ちなみに新しいギターを買うと、前のギターは手放す。これもおれなりの誠意だ。

そんな誠意あふれる人間でも、パシフィカには恐れず手を伸ばせる。
「初心者でもいいんだよ。ギター持ってもいいんだよ。あ、ほら鳴った。」
という、相田みつを的な優しさと懐の深さを見せてくれる。
自身の性格も含めて、現時点でおれが買える最高品質のギターがパシフィカであることは間違いない。

まあとはいえ、正直に言えば、過去には「パシフィカ ?うんダサいな」とさえ思っていたことさえあるギターだ。
ストラトキャスタージャガーなどのブランド名モデル名で感じる高揚感は、今回の購入時になかった
ストラトキャスターを初めて買ったときは(ジャパン製だったけど)、「これをジミヘンが……ジョン・フルシアンテが……」って感動して、キャンディーアッポーレッドのボディを撫で回したものですよ。

今回はこの点実にドライだった。淡々と箱から出してチューニングをした。
ただなぜか弾くうちに偏愛というべき愛着が湧くんですよ、パシフィカは。

なんていうか優秀さが健気すぎて愛おしいというか、もうこれだけしてもらったら愛とスキルでお返ししたいよ的な気持ちになるというか。

初対面でストラト「やあメガネ、君に僕が弾けるのかい? 君はそれだけの男なのかい?」って言ってきたのに対し、
「メガネさん、私でやれることは精一杯やるので一緒に上手くなりましょうね! あ、今日の資料はパワポにまとめてもうDONEです!」って言うんすよ、パシフィカ は!この子は!ほんとにもう!

パシフィカと一緒に上手くなりましょう!メガネさん!

パシフィカの写真

メガネさん、一緒にがんばりましょう!

そんなこんなで、おれは買ったばかりのパシフィカの指板に、ドレミがわかる音階のシールを貼った。
明らかにキッズ向けのカラーリングがパシフィカへの罪悪感をあおる。

しかし次のステージにいくに、これはしなければならないのだ。
今までほぼ4〜6弦しか使用しなかったため(パワーコードという技が使え激しめの曲ならこれだけでなんとかなる)、1〜3弦のどこが何の音なのかわからなかったためだ。

屈辱的な指板シールを貼った行為は、おれが次の階段に上がる決意を固めたことを意味している。

来年中には必ずシールを剥がしてやる。待ってろよパシフィカ。
それが2023年の大きな目標です。

ちなみにシャイニングスターな歌い手、詩歩嬢のボーカルで先日出した曲の後半怒涛のギターが、パシフィカの実質デビュー戦です。

ジョニー・グリーンウッドばりの狂気的動き(構えと頭の振り方だけ)でプレイしたとき、パシフィカは私の変貌っぷりに引いた顔をしていました。

パシフィカの音の確認と(エフェクトかけまくりですが)、指板シールの効果確認のためにぜひぜひ。

 

linkco.re

 

ではでは。
今日はおやすみなさい。

買うならぜひサウンドハウスで。見ていると寝れなくなっちゃうけど。

サウンドハウス