この丸メガネはミュージシャンなの?

音楽ブログを早々に諦め、ゆるめのサブカルブログへ男は舵をきった

場所は自宅で予算は0円。MV制作はできるだろうか。

自作MVの画面

狂気の沙汰の末……

MVを自作しようと企んだ

友人のYが一緒にYouTubeをやろうぜと突然言い出した。

聞けば、グルメと買い物とちょっぴりエロスな男の休日をコンテンツにするという擦り倒された企画に目を輝かせている。

撮影係ならやるよと返事をすると「いや俺が撮影する。プレイヤーと編集は任せた」とエゴ野郎ならではのアンサーがLINE通知にピコンと出てきて、おれはスマホを投げ捨てた。

お互いが譲らずこのまま泡と消えるだろうが、まあとにかくその話をきっかけに初めて部屋の中でiPhoneのビデオを作動させてみた。
今さらだがあまりの画質の良さに驚いた。そういえば今はスマホで映画を撮る時代だった。

ちょうどその頃おれはコロナにかかってからの回復期で、元気はあるが外には出られないという時間とエネルギーを持て余した状態だった。

iPhoneの画質を見て、おれは思った。
「やり方によっては自室でMVくらい自作できるのではないか」と。
そしておれは試しにやってみることにした。

とりあえず編集はiPhoneMacにデフォで入っているiMovieを使えばやれないこともないだろう。
当然だがこんなタイミーのスキマバイトくらい軽い気持ちで始めるものにPremiere ProやFinal Cut Proなどの高級動画編集ソフトを用意してられん。
予算はもちろん0円だ。

スペックや機能ではない。気合と工夫が芸術を作るのだ。

そして自室でのMV制作が始まった

曲自体はすでに完成していた。コロナにかかる前に録っていたのだ。

最近よく行く新宿大久保公園と池袋駅北口周辺の香ばしい風景からのインスパイアと個人的なあれこれをごちゃまぜにした「唯我独豚」という仏をも恐れぬ一曲だ。

とりあえず撮影場所は自室だ。コロナだもの。
撮影機材はもちろんiPhoneで、基本は卓上に固定させてセルフ撮影でいく。必要に迫られたら最悪Yに撮ってもらえば良いだろう。

この制約だらけの悪条件が、なぜかその日のおれを燃えさせた。
「チープさが逆に味だね」そう言ってもらえるような作りにすればいいのだ。
パンクとヒップホップはDIY精神が作り出したカルチャーだ。わいは練馬のリック・ルービンじゃい。

で、作業すること8時間。
なんと予想に反してその日のうちにMVは完成してしまった。
チープさは予想通りのまま、味はもう途中で味覚がいかれてあるのかもわからない。

作業にかかったコストは予定通り0円でのフィニッシュ。それがこれだ。

 

youtu.be

動画制作に使ったおすすめ編集ツール

当初はiMovieだけで完結すると思っていた作業だったが無理だった
「わいは西武線カニエ・ウェストや」と叫びながら作業しているうちに、結局やりたいことは増え、それに比例して利用ツールは増えていった。

最終的に使った制作ツールは以下だ。

  • iMovieiPhoneとかMacに入ってるApple製動画編集ツール)
  • canva(ブラウザ上で使える動画・写真編集ツール)
  • InShot(動画編集用スマホアプリ)
  • Photopea(ブラウザ上で使える画像編集ツール)
  • splitvideo(ブラウザ上で使える音楽編集ツール)

クオリティはともあれとにかく短時間で完成までたどり着いたのは、この神が用意したとしか思えない無料ツールたちのおかげだ。それぞれの特徴と使い道は後述します。

それでは忘れないうちに今回の完成に至るまでの手順を。

今回のMV動画制作の手順

まずは素材動画を撮影

まずはメイン素材となる人物の動画撮影だがこれは大したことをしていない。

やったことといえば、iPhoneカメラを動画モードにして固定させ、目の前のベッドでのたうち回っただけだ。

もっと詳細に言えば、曲のジャケットで使った豚の絵をプリントアウトしてAmazonダンボールに貼り付けお面を作り、それを装着してベッドでのたうち回っただけだ。

はっきり言って猟奇性がとんでもない映像になっていた。ほぼホラーだ。

自分の姿にもかかわらず「こわっ」って引いたもの。
こういう奴がなんらかの事件を起こすのだろう。

自作の豚のお面

 

装着時

動画内で使う演出用の画像を用意する

豚の面をつけて踊るだけじゃ絵が寂しいので、画面を彩る画像を用意した。
これにはPhotopeaというブラウザ上で使える画像編集ツールを使った。

Photopeaは前々からよく利用しているツールで、これさえあればPhotoshopはほぼいらないと言い切れる神ツールだ。

フォトショはもちろんイラレのデータも読み込める。有料プランもあるそうだが無料版にストレスを感じたことがなく有料プランの内容について調べたこともない。
これで作った画像が以下だ。

pngで背景を透過させてフレームとして利用した。

 

各所でうろちょろさせた。ノートに残っていた落書きのスキャン。

素材の準備が完了したらいよいよ動画編集作業

動画編集はiMovieでいけるだろうと思ったが、前述の通り全然いけなかった。

iMovieは、操作性はいいのだがいかんせん機能がシンプルすぎる。エフェクト系も充実してるとは言い難くレイヤー機能(動画に動画を重ねられる機能)も弱い。

で、おれはいくつかツールを探して援軍を呼び寄せた。
それがcanvaとInShotだ。これらを行き来して美味しいエフェクトを使用させてもらった。
とりあえずそれぞれに感じた長短所と今回の利用箇所を書いておこう。

利用した動画編集ツールそれぞれの特徴

iMovie
iPhoneiPadMacなどApple社製品にもれなく入っているビギナー用動画編集ツール

【長所】
・動画を切ったり貼ったり操作が楽。
・wavもさくっと読み込め音質のクオリティを保ってデータを出せる。

【短所】
・エフェクトが弱い。
・レイヤー機能が弱い。

【今回の使い方】
・全体的な色トーンの調整
・最終的な動画の切り貼り
・最終的な動画と音源との合成

●canva
最近知名度と利用者数を爆上げしているブラウザ利用の動画・画像編集サービス

【長所】
・エフェクトが使いやすく面白い。頻出パターンがあらかじめ用意されているので選んで効果の強さを設定するだけで完了する。
・今回の編集ツールの中ではレイヤー機能が強い。素材をいくらでも重ねられる。

【短所】
・ブラウザなので使いたいデータをアップロードする必要がある。これがなかなかにだるい。

・環境によっては動作が重い。

【今回の使い方】
・花のフレーム素材に動きをつける。
・目みたいな素材を自由に動かす。

●InShot
長きにわたり地味に人気を誇る動画編集用スマホプリ

【長所】
・エフェクトがいかれていて面白い。これもパターンを選ぶだけで作業が完結する。

【短所】
・無料版だと出した動画にInShotのロゴが入る。(と書いてあったがなぜかロゴが見当たらないのでスルーしている。よく確認したらまだどこかに入っているかもしれない)
・無料プランだと選べるエフェクトが少ない。有料プランの豊富なエフェクトが気になる。課金しかけた。
・パソコンでアプリを使えないので細かな編集がやりづらい。
・たぶんレイヤーが弱い。(あるのかさえよくわからなかったのでcanvaで代用した)

【今回の使い方】
・背景から人物を切り抜く
・動画をイラスト調に変更
・体をカラフルなラインで縁取る
・人物の動きを変則的にする。分身させる。

といった感じだ。

動画編集のフロー

今回の流れとしては、

①InShotで背景を消したりエフェクト加えたりする。

iMovieで音源に合わせて切り貼りする。仮で一曲分通しの動画を完成させる。

③canvaのレイヤー機能で花と目の素材を動画に重ね、動き等の演出をつける。

iMovieで微調整して音源をつけて書き出す。

という感じで完成だ。
各社さすがの使いやすいシンプルなUIで、わりと直感的に操作できて戸惑うことは少なかった。

あと最後に補足すると、②のiMovieの切り貼りの際、splitvideoという音声編集ツールも試した。
いくつかのMVを参考資料として見ているうち「小節ごとに画面を切り替えるとMVっぽくなる」という法則を発見したためだ。

splitvideoは指定した秒数ごとに分割することが可能なのでMV作りに重宝すると思う。
今回は諸事情あって結局iMovieで手動でシコシコ分割したが、普通のバンド演奏動画とかだったら絶対におすすめのサービスである。

ネット上で誰も言及していなかったのが不思議なくらいMVに利用価値大の神ツールだと思う。

完成したMVがtunecoreの審査に通った。配信開始。

もともと曲自体はディストリビューションサービスのtunecoreを通じて配信リリースする予定だったので、せっかく作ったのだからとりあえず審査にかけてみるかと一緒に送ってみた。
すると意外にもするっと通って各社動画サービスに配信できる流れとなった。

ぎりぎりこのチープさを味として認めてくれたのか、担当者が寝不足で目をつぶったまま審査したのかはわからない。
しかしとりあえずは第三者の視点はクリアしたってことだ。試みは成功とみて良いだろう。

MVに予算割いてらんないよっていうミュージシャンの方は、ぜひ一度今回のツールを試してみてください。

それでは今日はおやすみなさい。
ではでは。

 

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