この丸メガネはミュージシャンなの?

音楽ブログを早々に諦め、ゆるめのサブカルブログへ男は舵をきった

今日は雨だし、レディへの傑作・OK コンピューターについて語ろうか

今日は雨だ。

秋になりたての季節の雨だ。
真夏の雨とは違う、静寂を帯びた音が心地いい。

と文学的な表現をする自分が心地いい。

雨だからすることがない。
とはいえ、晴れてても別にすることはない。

とにかく雨だ。


で、そんな雨の休日にかけるアルバムがOKコンピューターだ。
個人的に雨の日にこんな似合うアルバムはないと思っている。

雨かもしくは夜から朝になる瞬間くらいの、灰色がかった空の時間帯がとてもよく似合う。
窓の外を新聞配達のカブのエンジン音にこんなに似合うアルバムはそうない。


いやあしかし、そんなことより楽しい。
アルバムのレビューを書くのは楽しい。

まだ一文字も書いていないけど、間違いなく楽しい。

レビューなんてするのは人生で初めてだ。
たしかに、これから書こうとしているOKコンピューター論、レディオヘッド論は、何百回何千回と場末のHUBで友達としてきたことだけど、こうやって文章にするのは初めてだ。


レビューバージンのおれが最初に捧げるのを、どのミュージシャンのどのアルバムにしようか迷った。
あえて通をきどって、輸入盤でしかお目にかかれないようなアーティストを選ぶのも良いだろう。
しかし、おれの純愛はやはり最愛のアルバムにバージンを捧げることを選んだ。

それがこいつOKコンピューターだ。
驚くなかれ、まだ本題に入る気はさらさらない。

OKコンピューター。
UKロックファンにはおなじみだが、90年代、いや20世紀を代表する名盤として知られるRADIOHEAD(レディオヘッド※ラジオとは読まない。なぜかは知らない。たぶんrockinonあたりの仕業だ)の代表作のひとつだ。

おれは毎年末に「おれ大賞」を音楽と文学でランク付けするのだが、OKコンピューターは史上最多の1位受賞数を過去にとっていて、もはや殿堂入りといってよいレベルだ。

おれの脳内のステージ上で、何度トム・ヨークと固い握手をしたことだろう。
主催・おれ。審査員・おれ。MC・おれ。
あの輝かしいステージで、客・おれから万雷の拍手を受けたまさにモンスター級の傑作である。


まあそんなおれ史に残るアルバムだから、今回レビューを書くにあたり、とてもワクワクしている。
なんだろう、自分がこのアルバムのレビューを書く日がくるなんて思いもしなかった。
生半可な仕上がりでいくわけにはいかない。

そういえば、若かりし高校時代、おれはロック雑誌の編集者なんて良いかもと思ったことさえあった。
その頃の熱い情熱が蘇ったようだ。

ただおれはその夢を簡単に諦めた。
あれはたしか池袋の喫茶店、伯爵の店内だった。
ちなみに、おれの大体のエピソードに伯爵は登場する。

無駄にバブルの影を思わせる伯爵の店内で、その日おれは友人のATSUSHIと向かい合って座っていた。

怠惰を水で薄めたようなコーヒーを飲みながら、怠惰としか言いようのない時間を過ごしていた。
「rockinon(通称ロキノン。まだあるのかな。) がさあ、編集者を募集してんらしいのよ。おれ編集者になろうかと思う」
「やめとけって」
「なんで?」
ジョン・レノンがこう言っていたぞ。『編集者というのは自分が特別な部屋にいると勘違いしている凡人』だと」
「めっちゃかっこいいな、それ」
「さすがジョンだろ」
「さすがジョンだな、おれやめるわロキノンなんて。あんなんファキノンだわ。ファキノン」
「そうそう、ロックなソウルを持ってる奴は編集者にならない。てゆーか、社会人にならない」
「かっけえな」
「かっけえだろ」
「なんかニートが一番かっけえ気がしてきたわ」
「それは決して間違いというわけじゃない」

それが大きな間違いだとわかったのは、数年経ってからだった。


まあでもロック雑誌の編集者(ライター)もどうなんだろう。

ATSUSHIとの思い出を遡るうちに、当時もやもやと感じていた違和感みたいなものを久々に思い出してしまった。

そうだな、まず他人の創作物を論ずるには、そいつも最低限ひとつは作品を提示してからにしろ、と言いたい。
人の音楽を評論する前に、まずお前の作った曲を聴かせてみろと言いたい。

別にそれがチープでもカスでもいいから、汗かいて作ってみろと。

そうじゃないとフェアじゃないだろ、と。

評論の能力があるなしの問題でなく、評論する資格がないんだ、あいつらには。

やっぱりあの時、あの道に進まなくて正解だった。

というわけで、OKコンピューターはまた今度語ります。
コーンバンワー!!!