今週のお題「雛祭り」が、ジェンダー問題の過熱するこのタイミングでくるのは皮肉な話だなと、私は思った。
女の子の節句であるひな祭りが今年もくる。
が、こんな「男の○○」「女の○○」なテーマにうかつに触れるのもビクつくほど、例のオリンピックをきっかけに性差問題が大炎上している。
日本の歴史上においても、ここまで女子について語りづらい時代はなかっただろう。
SNSなどメディアの先には、常に1,000万人の伊藤野枝が目を光らせていると思っていい。
ちなみにおれは伊藤野枝が好きだ。でも辻潤はもっと好きだ。脱線の雰囲気がすごいからここはもう広げない。
てか女子についてに限らず、あらゆる事象で軽はずみなことが言えないこの時代はすごい。選択をひとつでも間違えたら、もう元の場所へは戻れない。
自分自身を含めて、大衆のモラル、NGルールは一瞬で更新されるんだなと思う。
昨日のセーフが、今日は当然のようにアウトで明日はゲッツーだ。
大衆モラルは実体を持たないまま変化を続ける怪物であり、前述の通りギターと女子は似ている。
は?
と思った方が正しい。
さすがに無理があった。
ちょっと色々あって、無理やり方向転換をしてみたのだが、無理なものは無理だった。
とりあえず、今の状況はこうだ。
まず今回嬉々として書こうと思っていた『ギターと女子の類似性について』というテーマがあった。
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しかしこのテーマと時勢が合っていない気がしたのでいったんやめた。
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今週のお題が「雛祭り」だった。
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書き出してみたものの筆が進まないのし、自ら問うたジェンダー話に触発されて、『ギターと女子の類似性』がやっぱり書きたくなった。
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ジェンダー論にかこつけて、気づかれぬように話題を転換して、しれっと話を進めていこうと企んだ。
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失敗。
という流れだ。
ロックだヒップホップだ言うわりには姑息なメガネだ。
ただ、今の急激な方向転換は、さすがに自分で無理があると気づくレベルだったので、早めに謝っておいて、もうここからは開き直って書こうと思う。
「ギターはおれの女」という発言について
この言葉はおれが言ったわけではなく、アメリカ南部のブルースマンの間で詠人知らず的な感じで伝わると、なんかのマンガで読んだ言葉だ。
もしもおれが、B.B.キングと同じテーブルで飲むことになったら、ほどよく酔ったところで、「なあB.B」と肩を叩きながら言おうと思っている言葉でもある。
自身のギターにルシールという女性の名前をつけていたことで知られるB.B.キングだ。
きっと「わかってるな若造」と深くうなづくだろう。
ギターと女子との類似ポイントについて
ではギターと女子のどこが似ているのか。
そこんところを深堀りしていこう。
まずは単純にボディーのシェイプ、つまり姿形のシルエットだ。
コカ・コーラの瓶が女性のくびれ感あるボディをデザインソースにしているように、ギターもまたデザインソースは女性だと確信できるほど、美しい曲線美を描いている。
特に名器レス・ポールなんてその傾向が顕著だ。
ただ、今しがた自信満々で調べてみたら、女性のボディラインとの関係性は特にないらしく、元々がひょうたんを使った楽器がルーツだから、デザインソースもひょうたんらしい。
数行前の "確信できる" が一瞬で権威をなくした。
つまり、ひょうたんと女性は似ている。
いや違う。
そんなことが言いたかったんじゃない。
ジミ・ヘンドリックスを知っていますかの違和感について
まあデザインソースはともかく、ギターと女性は他にも似ているところはある。
多くのギタリストがギターを女子に例えるのも、ここの部分が大きいだろう。
ジミヘンことジミ・ヘンドリックスを知っているだろうか?
ジミの前にジミはなし、ジミの後にジミはなし。と称される、天才中の天才ギタリストだ。
いや違和感がすごいな。
ジミヘンを知っていますか? の確認、ジミヘンは天才なんですよという説明をすることへの違和感がすごい。
ロック好き界隈ではもう当然すぎて当然すぎる話だ。
おれが今どれほど違和感を持っているか、むだに共有したくてしょうがない。
こうなった以上、書くしかない。
「犬という動物を知っているだろうか。体がふさふさの毛で覆われて可愛くて人懐っこく、ワンと鳴くことで知られている動物である」
こんなことを書いている感じの違和感だ。
では先へ。
ジミヘンの演奏がベッドシーンぽい件について
で、まあそんなジミヘンという天才ギタリストがいたんですが、その独創性やテクニックはもちろんのこと、演奏時の顔がすごい。
あとでYouTubeで観てほしい。
あれはギターを演奏している顔じゃない。
あれはベッドの中の顔だ。
体全体をくねり、エクスタシーに満ちた顔でギターに指を這いずり回らせる。
それに応えるように、ギターは大音量で叫び、大気を震わせる。
ギタリストがギターを女性に例えるのは、つまりはそういうことなのかもしれない。
どういうことなのかは説明しない。
エレキギターそれぞれの私的イメージについて
ちなみにここから先は、ただただ私がかねてから抱いていたそれぞれのギターへの感想・イメージというか妄想にしかすぎない。
もちろんブルースマンに言ったとて、クレイジーと返されるだけのやつです。
テレキャスター(ブランド:Fender)
黒髪、長すぎず短すぎずな髪型の女子大生。
スカートはあまり穿かず、淡い色のジーンズを好む。
足元は基本的にコンバースのオールスター。
目立つタイプではないけれど、よく見ると整った顔をしていて、隠れファンは多い。
素朴でナチュラルな人柄で、陰キャ野郎でもあまり緊張せずに話せる。
基本的には素直で優しい子なのだが、飲み会でたまに乱れて毒舌を吐く。
ストラトキャスター(ブランド:Fender)
テレキャスターより、ややフェミニンな雰囲気の女子大生。
あのふたりって結構ルックス似てるよね、とちょくちょく言われるが、ストラト側はあまり良い気分はしていない。が、表面上は喜んでみせる。
ジーンズは脚が太く見える気がするのであまり履かず、スカート率が高い。
大体の時間は友達と談笑しているか、スマホをいじっているかで、孤独に虚空を見つめることのないタイプ。
よく友達の付き合いで合コンに行き、無難さゆえに結構モテる。
その後、ふたりきりで会ったりもするが、3回目くらいから徐々に熱が冷め始め、相手の男の短所ばかり目につくようになり、けっきょく自然消滅をたどる。
レス・ポール(ブランド:Gibson)
某有名国立大に通う、頭脳明晰かつ容姿端麗な女子大生。
気取りすぎないカジュアルなボーダーの服装を好むが、それは決してユニクロでもGUでも無印でもなくA.P.C.。
ピアスや指輪、アンクレットなど、ちょっと尖ったスパイス的な高級アクセサリーをワンポイントで巧みに使う。
スマホはさらりとiPhoneの上位スペック。
現在は語学(韓国語とドイツ語)の勉強にはまっている。
もちろんカナダに留学経験あり。
ホストファミリーと一緒に白Tシャツでうつる写真では、日本では見せないくらいキラキラした笑顔である。
SG(ブランド:Gibson)
レス・ポールの実の妹。
優等生なお姉ちゃんに比べて、学業は劣るものの遊び上手で友達も多い。
友達はパンクな感じに弾けちゃっている奴が多い。
とはいえ姉が優等生すぎるだけで、SGもその言動や所作に随所に家柄の良さを感じさせる要素を持ち、なにげに偏差値の高い私立校に通っている。
一見、フランクそうに見えるが、実はかなりの末っ子気質で人見知りでもある。
ただその分、心を許した人間には無防備に甘えてくる。
が、それでも干渉されるのは嫌いで、例えばコンビニに行こうとドクターマーチンを玄関で履きかけたときに「どこ行くの?」と聞かれるだけで、結構イラっとする。
すごく嫌なことがあったときだけタバコを買うが、二本くらい吸って、残りは結局捨てる。
RG(ブランド:Ibanez)
パッと見、結構派手というかビッチ気味の女子大生。
髪色が頻繁に変わり今は過去最高に明るい。クラブ好きで友達も似たタイプが多い。
メイクののりが気に入らないと学校を休む。
クラブで酒を飲んでも、実はそこまで酔っ払えない。
パッと見の印象にたがわず異性との経験は豊富だが、パッと見の印象にたがわず短期間で別れやすい。
茨城に住む3つ上の姉にはすでに二人の小さな子供がいて、正月などに会うと、かわいいと思いながらもどう接したらよいかわからないので、スマホを取り出す。
ホワイトファルコン(ブランド:Gretsch)
2020年代では逆に珍しい、豪華主義の高級路線を突き進む名門女子大の大学生。
車に乗らない男が増えた今だからこそ、ステータスシンボルとしての車に強いこだわりを持ち、ふわふわの座席にしか座らない。
ただ、高い車だから良いというわけでなく、GT-RやNSXなどスポーツカー的なやつは子供っぽく見えて苦手で、かといってベンツやポルシェのようないかにも成金趣味な車も田舎っぽくて嫌いで、なんだかんだでレクサス最強説を唱える。
冬になると白いふわふわの何かを身にまとう。
通学中はAirPodsを耳につけっぱなし。
PRS SE(ブランド:Paul Reed Smith)
どこかミステリアスで芸術肌な雰囲気のある女子大生。
将来設計はわりと堅実的。
無表情気味で、男子はおろか女子ともなかなか打ち解けないが、一度話が合うとわかると、映画(実はSF好き)やら小説(純文学)の話を嬉しそうに長時間話す。
感想が感覚的かというとそういうわけでもなく、ロジカルに作品の魅力について語ることができる。
興味がない作品を話題に出されると、あからさまに表情が消える。
さすがにもう疲れてきたし、シルエットも限界があるので、さくっといこう。
パシフィカ(ブランド:YAMAHA)
結構なインドア派。ゆえに部屋着にこだわる。たまに外へ出ると靴擦れを起こす。
私は一途な男のようだ
やー、やたら疲れた。
ストラトキャスターあたりから感じだした、なにしてるんだろうおれ感は、久々に徒労感を覚えるものだった。
ちなみに私は、一度に複数のギターを所有したことがない。
さらに言うと、ギターを買い換えるにあたり、妙な罪悪感とやましさを感じて、半年くらい葛藤して悶絶する。
そんな自分を、なにげに誠実さ残ってるじゃんとも思うし、きもいメガネだなとも思う。
最後に春にぴったりのきれいな歌のレコメンドしておきます。
ではおやすみなさい。