この丸メガネはミュージシャンなの?

音楽ブログを早々に諦め、ゆるめのサブカルブログへ男は舵をきった

東京タワーの麓、増上寺にてベスト心霊写真

今週のお題「上半期ベスト◯◯」

夜の東京タワー

昔の自分からしたら驚くくらい頻繁に写真を撮るようになった。スマホの進化も大きいがそもそもの考え方が変わったのが一番の要因だ。

かつては「写真を見なきゃ思い出せない思い出なんて、大事な思い出じゃない」ととがりちらしていた。肉眼で堪能するより前にカメラのレンズに収めようとする連中を「愚かだ」と鼻で笑っていた。

しかし年を経るごとに、脳内の記憶容量は埋まっていく。
忘れるはずがないと思っていた思い出を、人から言われて思い出すような失態が増えてきた。
いや、それだけならまだ良かった。

近頃はその先の領域にいき、体験していない思い出まで作り始めている。

先日、行ったことのない有名ラーメン店の名前が会話で出てきて「予想以上においしかったよ」と自然に答えてしまい、おれは怯えだした。

忘れるまでならまだいい。作り出しちゃったらアウトだ。もう覚悟を決めるしかない。なので最近のおれは行く先々で写真を撮るようになった。

で、そんな写真を撮る人生が始まり、ついに心霊的な疑いが濃厚な写真を撮影してしまったのだ。

今まで心霊写真を撮影したことがなかったのは、そもそも写真を撮っていなかったからという、そんなシンプルで大切なことに気付かされた。

そう、バッターボックスに立たなきゃホームランは打てないのだ。
心霊写真で気付かされるとはね……。

芝公園・東京タワーへ散歩スタート

その日の仕事終わり、週末の開放感にエクスタシーへ導かれたおれは、ラリった後輩の男と共に散歩をすることにした。

虎ノ門ヒルズ周辺からスタートして、東京の夜空に真っ赤に輝く東京タワーを目指す計画だ。

ちなみに東京タワーへは冬頃にも一度散歩に行き、その時はアイドル撮影会のギャラリーに自然合流してしまう失態を犯している。

おれ達はだらだらと歩き、芝公園のふもとの東京タワーを目指した。

隣の後輩はエンドレスで度数の高いチューハイを飲みながら、無差別的な下ネタをオートマで発信し続けるエロラジオとなっている。
おれはおれで、「東京タワーといえば前回は西村賢太の追悼で個人的に行ってさ、あ、西村賢太って小説家知ってる?」という文学メガネ要素をむき出しにした東京一つまらない男となっていた。

虎ノ門ヒルズから伸びるストリートに並ぶはオシャレなバーとレストラン。
きらびやかなネオンに照らされる仕事を終えた男女、土地柄か外国人観光客の姿も多い。
そんなハイソな世界を歩く二人の社会不適合者の姿が、TOKYOという街のカオスを現している。

そして時間にして約20分、あっさり着いた東京タワー。

夜の東京タワー

夜の東京タワーには観光客がいっぱい

東京タワー周辺には多くの観光客がいた。
みんなスマホを手にして、思い思いのポージングを決めている。

完全に場違いだった。
そのきらびやかな光景とキャピキャピした声から逃げるように、3分でその場所を後にした。

真下から見た東京タワー

真下から見た東京タワー

いきなり広がる芝公園墓地

ゴールであるはずの東京タワーを恐ろしいスピードで後にしたおれたちは、そのまま大門駅に向かった。

「さっさと行ってさっさと帰る、これが江戸っ子よ!」と脳内で吠えながら歩いていくと、徐々に道は暗く狭くなっていった。
ふと横を見ると、そこには今までの華やかな光景が嘘のように真っ暗な空間に墓地が広がっている。

一気に空気が変わった。
暗い墓地にはこれでもかとお地蔵さんが並び、風車がぬるい風に揺れていた。

「これはたぶんあかんところだ」

おれは逃げるように足早になりぐいぐい歩いた。
逃げてばかりの散歩だ。もはや逃亡だ。

そして増上寺でその写真は撮られる

ようやく墓地ゾーンを抜けると、そこに大門の大門たる所以の増上寺の門が現れた。

門から中を覗くと、暗闇に浮かび上がる増上寺境内、そしてその背後に爛々と輝く真紅の東京タワーがキャンドルのようにそびえ立っている。

その荘厳かつアンバランスな光景に、おれのアドレナリンが一気に上がる。
シャッターチャンス。

おれは夢中でスマホを取り出し、ピントを合わすやパシャパシャとボタンを押した。

そこで撮れた写真がこれだ。

増上寺と東京タワー

増上寺と東京タワー

おおう、ビューティフォー……。
おれの短い写真人生の中でもベスト5に残るだろう。

で、帰宅後、そんな感慨にふけりながら写真を拡大しているとある存在に気づいた。

ん?

増上寺で撮った心霊的な写真

んんんんんんん!

まあ忘れられない思い出ができたということで今日は寝ましょう。
起きたら仕事だこんちくしょう。

ではでは、おやすみなさい。